平成21年度 第2回 長期優良住宅先導的モデル事業紹介

　本事業は、既存住宅の流通を阻害する「汚さ」や「品質不安」を払拭する解決策である。
　既存住宅の流通と改修に関わる事業者が業種業態の垣根を越えて、統一された基準による「改修 (リノベーション)」「検査 (インスペクション)」「保証」「住宅履歴」を備えた「優良リノベーション住宅 (I m 型)」を供給 (または提供) することにより、消費者目線での既存住宅の流通市場の形成とストックの品質の向上を図っていきたい。
　仕組みおよび基準の構築にあたっては、まずは普及させることを一番の目的とした。また、導入に対して「難解」「コスト高」といった要素を排除し、「わかりやすい」「広がりやすい」「使いやすい」をコンセプトに、本事業を供給 (提供) し、消費者及び住宅不動産関連事業者の中古住宅の正しい理解と、「第三者検査」「第三者保証」「住宅履歴」の一般化を目指す。
　また、本事業は、当該リノベーションシステムを供給 (提供) した消費者からのフィードバック (アンケート) を得ることを必須とし、協議会という様々な業態が集まったプラットホームから多面的に吸い上げられたフィードバックを検証し、本事業のシステムをさらに「普及し得る」システムに改善を図ることで、さらに「検査」「改修」「報告」「保証」「履歴」のフローが一般化していくことを目指す、継続性、拡張性を兼ね備えたシステムである。

■システム概要

□先導的システム:「検査→改修→報告→保証→住宅履歴」という本協議会 (提案者) の従来のシステムに「第三者検査」「第三者保証」「住宅履歴 (継続的な履歴登録が可能)」を付加することで、さらに先導的なシステムとなっている。

□適合証明取得物件:当該システムは、既存マンションの専有部改修を対象にしているため、住宅金融支援機構の「適合証明」を取得できる物件のみを対象にした。「適合証明」を取得できる物件にすることで、共用部の構造、管理組合の状況、金融面のサポート (フラット35の利用が可能) などの共有部に関するフィルターがかけられ、長期に流通・利用されるべき物件に対するサービスとなるような仕組みになっている。

■先導的リノベーションシステムの内容

□第三者検査:当協議会で定めた検査基準に加え、検査会社独自の検査を付加する。
　第三者検査機関にて検査を行なうことで、不良箇所の隠蔽や検査ミスや工事ミスによる引渡し後のトラブルを回避する。
　また、協議会の検査基準については、「検査ガイドブック」を作成し、買主や仲介会社に配布することで、検査内容をわかりやすく理解できるように工夫した。協議会のHPからも「検査ガイドブック」をダウンロードできるようにし、できる限り検査内容を開示・普及に努める。
　
□報告:当協議会の共通書式である「適合状況報告書」を用いて、買主に、リノベーションに関わった会社、検査者、保証者、不具合があった際のアフターサービス窓口、及び検査適合状況などを記載した書面を渡す。関係者や検査の適合状況などを買主や仲介会社が一目で確認できる書式となっている。

□第三者保証:既存マンション専有部内の設備やリフォームに対する保証を利用し、不具合時などの保証を行なう。第三者保証機関とすることで、当該システムの供給 (提供) 者の倒産時などのリスクヘッジを行なう。

□(追加登録可能な) 住宅履歴情報:当協議会の住宅履歴は、リノベーション住宅の供給もしくは、リノベーションの提供時の情報の登録しかできなかった。本システムでは、以降の追加登録も可能になるようにシステム変更を行い、協議会自体が「登録機関」となり (予定)、共通IDの登録や物件引渡し以降の登録もできるように図る。

□共通プラットフォームと考え方
　当協議会は、リノベーション関連の様々な業態の会社が会員 (正会員122社、賛助会員68社、2009年11月30日現在) として加入しており、様々な形での本事業への取り組みが可能になっており、規模やエリア (首都圏・関西・東海・九州)、そして様々な業界から普及・啓蒙に努めることが可能である。
　
□ヒアリング&フィードバック
　本事業のユーザー (買主) に対して、「改修」「検査」「保証」「住宅履歴」などの項目において、ニーズや要望をヒアリング調査し、その結果を、会員をはじめ、各行政・業界等々へフィードバックすることで、実態に近い消費者の意見を吸収することが可能。
　
□システム改良
　ヒアリング&フィードバックをベースとして、現システムをさらに改良していくことを目的とした、継続性・拡張性を持ったシステムである。