平成21年度 第2回 長期優良住宅先導的モデル事業紹介

　『住む人の命と財産を長期に守る』という観点から「基本性能を更に向上させたハードウェア」を提供することがまず重要である。さらにハードウェアを長期に維持管理・保証するシステムにより「長く住むための安心」が提供されていること、「中古住宅としての流通」も容易に行えること、「地域社会に貢献する住宅」であることを付加したものが本当の長期優良住宅であると考えている。
　本提案ではこれらを4つの柱と考え、これらを実現するための取り組みを行っている。

1.基本性能を更に向上させたハードウェア
(1) 地震に無傷の構造躯体

1. 安全限界変形角を1/150以下 (長期優良住宅基準の1/1.5)。
2. 限界耐力計算による構造計算を全棟実施。
3. 標準貫入試験による地盤調査を全棟実施。

(2) 200年超持つ構造躯体

1. 低水セメント比の高品質コンクリートを用いて100年超の耐久性を確保し、プレキャスト部材接合部について、取替えが困難な埋め込みボルトにはステンレスボルトを、取替え可能なボルトには高耐久防錆処理ボルトを採用することにより、部材と接合部の両側面での高耐久を実現する。
2. 長期維持管理計画に定期的な劣化状況確認と構造躯体の劣化対策処置 (外部塗装の定期メンテナンス・劣化部材の再アルカリ化処理等) の継続実施を盛り込むことにより、200年超の耐久性を持つ構造躯体を実現する。

(3) 冷暖房・環境負荷を大幅低減する省エネ住宅

1. 現場発泡ウレタンによる高気密・高断熱により次世代省エネルギー基準を上回る断熱性能 (Q値≦2.3) を実現する。また、全棟熱損失係数 (Q値) シミュレーション計算を実施し、断熱性能を確認する。
2. 大地の熱を活用する「地熱利用強化基礎」、緑化によるCO2削減や屋上断熱を可能にする「屋上庭園システム」など自然エネルギーを活用し、冷暖房と地球環境負荷を大幅に低減する。

2.長く住むための安心を提供 (維持保全)
(1) ヘルスモニタリングの導入

　105年間に渡る長期維持管理計画に加えて、IT強震計を用いた常時監視システムにより「目に見えない」構造躯体の経年劣化や被災劣化を把握して、アクティブな建物の維持管理を提供する。

(2) 構造躯体105年長期保証制度

　実績のある「35年無条件保証」「台風保証」に加えて、10年ごとの点検・有償メンテナンスを継続実施することにより、最長105年間にわたり構造躯体の劣化・損傷に対する業界初の「105年間の構造躯体長期保証」を提供する。

(3) 20年防水保証

　基本の防水10年保証に加え、定期的な点検・メンテナンスの実施により、業界初の「長期20年防水保証」を提供する。

3.中古住宅の流通サポート
(1) 設備リフォームを容易に

1. 2階の各ゾーン四隅に貫通孔を設けたプレキャスト床パネルを配置し、設備配管孔として利用するプレパイプシャフトシステム (PPSシステム) を採用し、設備配管メンテナンスを容易にする。
2. 給水系配管のサヤ管ヘッダー工法を標準採用し、給水配管のメンテナンスを容易にする。

(2) リフォーム・住み替え支援体制

　独自工法である提案住宅に対して定期的な最適リフォームの提案や中古住宅としての住み替えを支援する当社専門家による支援体制「すまいサポート」を提供し、リフォームや住み替えを容易にする。

(3) 「住宅履歴情報」の保存及び提供

　住宅の基本情報、メンテナンス履歴情報に加え、ヘルスモニタリングシステムによる経年劣化や被災劣化のデータを適時蓄積した「住宅履歴情報」を当社とユーザー相互で保存することにより、最適リフォームの提案や住み替え時の情報提供をサポートする。

4.災害時の地域防災に貢献
(1) 避難生活を容易に

　災害に対する抜群の強さを持つ構造躯体により地震・水害など災害発生時に居住者の安全を確保するとともに、被災時に自家発電を利用可能な災害対応電気配線システムや防災対応設備 (緊急地震速報受信機・ホーム保安灯等) を標準装備し、容易に避難生活が可能な「防災住宅」を提供する。

(2) 防災拠点化推進活動

　大災害時に周辺住民の避難場所・防災拠点としてご自宅を提供いただくよう継続的なお願い活動を行い、提供者に対しては復旧時リフォームを資金的に支援する制度「地域お助け活動」により当社住宅の地域防災拠点化を推進する。

(3) 災害時の自治体勤務者を支援

　災害発生時に地域住民のため自宅を空けざるを得ない地方自治体勤務者が提案住宅を購入いただいた場合、災害時にも安心して勤務できるように電話・訪問によるご家族へのサポートを行い、地方自治活動を支援する。