平成21年度 第2回 長期優良住宅先導的モデル事業紹介

「無印良品が考える長寿命住宅」：永く使える、変えられる。

　現状の多くの家は、ライフスタイルの変化に対応できず、建物の耐久期限の前に、建替えを余儀なくされている。無印良品では、住まい手の方々それぞれが自在に暮らしの形を作り、そして時に応じて変えられる、丈夫で可変性に富んだ家を提案している。また、「2DK」や「3LDK」という概念から解放された一室空間を基本とし、中は自由に変えられ、自分で編集していく家を提案している。
　私たちは‘永く使える、変えられる’のコンセプトを家づくりの基本テーマに掲げ、住まう人が自分自身で維持管理でき、家族の成長や住み替えに伴って必要な空間の形が変わったとしても、建替える必要のない家を目指した。

「つくりつづける家」：セルフビルドを導入し住まう人が自由に変えられる。

　現状のメンテナンスは業者任せで、住む人が自分でメンテナンスできない点に問題がある。
　今回の提案では、内装の仕上げ、プラスターボード、塗装を完全には仕上げず、ライフスタイルの変化に応じて自ら仕上げて、自ら維持管理しやすい家を目指す。
　構造の軸組みを一部見せるデザインとし、家の成り立ちを可視化できるようにする。永く使う上での問題点となる設備関係の変更について、アラワシとすることにより維持管理が簡単にできることを可能にした。
　
セルフビルドと可変性を可能にする「インフィルシステムとモジュラーコーディネーション」

　現状の多くの家は、建築時に壁や収納を固定的に作りすぎ、ライフスタイルの変化に対応できない。
　無印良品は家とインフィルを同時に考えることにより、モジュールコーディネーションの統一をおこなった。商品は日本の住宅の基準寸法となっている一間 (182cm) からゆとりを差し引いた実有効寸法168cmの2・3・4等分サイズを基本に展開されている。

大空間を造ることが可能な木質系ラーメン構造を採用。

　無印良品では、「永く使える、変えられる。」というコンセプトを実現するために、その基本構造として、安全で地震にも強く頑丈な木質系ラーメン構造を選択した。その構造では、全棟に対して国土交通大臣認定のシステムにより構造計算を行い、耐震や耐久性能など本質的な住宅基本性能を科学的に証明し、本当の強さを実現している。
　その構造は、従来の木造住宅を凌ぐ堅牢さを備え、さらに、開放的で大きなスペース、柱の少ないゆったりした空間も実現している。木の温かみが感じられる開放的な大空間と、優れた強度や耐久性を兼ね備えた無印良品の家。そんな木の家を、文字通り支えている。また、壁を建物の支えとしない構造なので、吹き抜けのある気持ちのいい一室空間として使うことができ、ライフスタイルの変化や家族の成長に応じて、自由に、簡単に、そして安全に変化させていくことが可能である。
　
熱効率をあげて、冷暖房のムダをなくす。

　無印良品の家では、外断熱を標準仕様としている。また次世代省エネルギー基準に相当する断熱性能を持ち、熱効率が良い。サッシは金属・プラスチック (木) 複合構造サッシ+低放射複層ガラス (空気層12mm) を採用。

　無印良品は地球規模で環境を考え、エコロジーの視点から商品を生み出してきた。無印良品の愛好者の中には、特に環境問題に興味はなかったがデザインに惹かれて愛用しているうちに、感化されてエコロジーに対して高い理念を持つようになった人も多い。
　そういった企業風土を持つ無印良品から、事業展開された「無印良品の家」では、事業開始当初からずっと「永く使える、変えられる」をテーマに家作りを行ってきた。
　今回の「無印良品の家によるセルフビルドシステムの提案」では、住まう人自身が家を大切にして、育て続けることによって、住宅の寿命が延び、建設廃棄物も減り、資源の無駄使いも減らす事が出来る。また、住宅の資産価値も上がるため、住まう人にとってもメリットが大きい。
　無印良品から展開された住宅ブランドという事で、老若男女問わず世間から広く認知されてきている。その認知度を上手く活用して、住宅の寿命を延ばすことの大切さを訴えて続けていきたいと考えている。
　具体的には、全国342の拠点をもつ無印良品の全店舗と連携し、広く啓蒙活動をおこないながら、その後のセルフビルドについてのアドバイスもおこなっていく。
　また、ホームページ各種雑誌媒体などを通じて、無印良品が考える「長寿命の家」というものの哲学を提唱していく。