平成21年度 第1回 長期優良住宅先導的モデル事業紹介

　地域密着の地場工務店がハウスドクターとなり、毎年ハウスドック (住宅検診) を行い、家歴書の作成や更新、住宅メンテナンスを行っていくのが「住まいの定期点検ハウスドクター」である。
　住宅メンテナンスは所有者が積極的に行うことを促し、その実行のサポートを行うのがハウスドクターの考え方である。
　基本的な考え方として、

1. 住宅メンテナンスは所有者が住宅の状態を知ることから始まる。
2. 住宅メンテナンスは住宅の現状把握と中期メンテナンス計画・長期にわたる更新が不可欠となる。
3. ハウスドクターは地域風土を知った地元密着の工務店が行い、住宅カルテ (家歴書) の作成と中期メンテナンスの作成、実行を行いその後の更新を促す。

　上記1.から3.の基本的な考え方を住まい手 (住宅所有者) と共有した上で、図1のような住宅メンテナンスを実行していく。

　ハウスドクターのサービスのひとつである「ハウスドック」の実行により、毎年この調査記録を家歴書にし、その調査結果を2部製本化する。製本されたものは住まい手とハウスドクター (工務店) が保管し、その後における住宅メンテナンスに円滑な対応ができるようにしている。
　また、ハウスドクター (工務店) は「ハウスドクター邸別管理ソフト」で各住宅のデーターを管理しており、データーベース化できるようになっている。
　
ハウスドックから生まれる「中期メンテナンス計画と長期メンテナンス」の関係
　ハウスドックでは簡易的な耐震診断、雨漏調査、断熱調査、部位劣化調査などの点検項目を行う。調査データーを基に、中期メンテナンスとなる「10ヵ年メンテナンススケジュール」を作成し、所有者に中期メンテナンスの管理計画を促す仕組み。
　毎年更新型のハウスドックを行うことで、中期メンテナンス計画を作成するが、図2のとおり、昨年度の中期メンテナンス計画の見直しも行われる。築年数の長期に経過している住宅も長期メンテナンス計画が可能となる。
　
ハウスドクターの展望
　中古住宅の価格査定などに家歴書の記録は重要なものになっている。メンテナンスを心がけている住宅とそうではない住宅では、査定価格に差が生じるのは必然であり、近い将来に不動産流通性に大きな影響を与えると確信している。
　マイハウスでは、「住まいの定期点検ハウスドクター」のサービスを自社商圏で住宅所有者へサービスの供給を行っていくとともに、他県の地元密着工務店にこのノウハウを供給し、風土や地域性を兼ね揃えた住宅の維持管理を広げていきたいと思っている。

　「住まいの定期点検ハウスドクター」のサービスは、既存住宅の所有者からの声を具体的に形にしたもの。「住宅の長期寿命とはメンテナンスで決まる。しかし、素人では限界がある。プロに低価格でサポートしてほしい。」そんな願いがあり、始まったサービスである。
　この住まいの定期点検ハウスドクターは街の風土や地域性を熟知した地元の工務店が行うことで、各地域でより良いものに変化していくと確信している。
　私たちはこの住まいの定期点検ハウスドクターのノウハウを各地域の工務店等に供給していき、多くの住宅所有者が利用できるようにしていきたいと思っている。