平成21年度 第1回 長期優良住宅先導的モデル事業紹介

　本提案は、昭和55年、建設省の指導の下「HOUSE-55」計画により新耐震設計基準を先取りして始まったミサワホームの鉄骨ユニット住宅を対象に、お客様に「いいものをつくって」「きちんと手入れして」「長く大切に使い」住み続けて頂けるための住まいの継続的な改修プログラムである。
　お客様が今後もより快適に、より永く住まい続ける為には耐久性能の維持、断熱性、気密性の向上を継続的に維持メンテナンス出来る事や現在及び将来のライフスタイルの変更にあわせたプランの変更が容易に行える改修プログラムが必要であり、その履歴が将来にわたりしっかりと把握されている事が肝要である。
　さらに、包括的、持続的なお客様サポートシステムの構築と展開により、側面からの支援もあわせて行なえることが重要であると考えている。
　本提案の骨子はより永く、快適に住み継がれる住まいにとって必要な「継続的な改修の仕組み」と「維持管理」「履歴情報」を持って「お客様を包括的、持続的にサポートする仕組み」を構築するという点にあり、本内容が長期優良に亘る住宅の利活用に資するものと考えている。
「HOUSE-55」計画に基づいて誕生した当時の鉄骨ユニット住宅をこれからも永く住まい続けて頂く為に、以下のコンセプトを掲げた。

「いいものをつくって」

• 改修着手にあたり、耐久性を確保する為に劣化診断と維持するための補修を行う。
• 併せて長期に住まう為の基本性能を確保する為の改修を行い、住まい手の安心として再保証する。

「きちんと手入れして」

• 住宅履歴を記録、保管して必要な情報の開示。
• 定期点検を実施し、必要なメンテナンスの啓発・改修実施により再保証制度へと繋げる。

「長く大切に使う」

• お客様の要望によっては住み替え支援、買取りを実施し、住まいの履歴や保証を引き継がれるようにする。

1. 基本性能確保の為の診断、実施

• 構造体の劣化診断の実施及び必要な部分への補修、改修を実施する。
• 内装、設備の維持管理を容易にする為の改修を実施する。

2. 居住性向上、環境配慮の為の改修と「見える化」による省エネ意識の啓発

• 開口部の断熱性能を向上させる為の改修を実施する。
• 「微気候デザイン」を取り入れた通風、日射遮断の設計を実施する。
• 断熱改修後の光熱費が確認出来る「エネルギー表示器」を設置し「見える化」する事で住まい手に省エネルギー意識の啓発を図る。
• 将来の介護やライフスタイルの変化に対応出来るべく、改修を行う壁については可変間仕切り壁とし、併せてバリアフリーに配慮した改修を図る。

3. 新・お客様サポートシステムの運用

• 耐久診断技術者による劣化診断、点検を実施し点検結果に基づき改修を行い、保証する。
• お客様センターによる維持管理の相談を365日、24時間受け付け対応し災害発生時の緊急対応も併せて実施する。
• 「お客様専用Web (オーナーズクラブ)」によるDIY・維持管理・不動産情報を提供する。
• 建物履歴情報や保証の継承を実施する。(保証可能期間は建物により設定)

4. 「住宅製造情報管理システム (製造ナンバー)」と「住宅履歴情報管理システム (MECIA)」による履歴情報の管理

• 建物製造時の生産情報の記録の保存、活用の為のシステムの活用
• 上記生産情報に基づき、顧客管理システム (建物基本情報、維持管理情報、流通情報等の記録、保管、情報開示) の活用

5. 流通促進 (流通サポートシステム) の運用

• 建物借り上げ及び住み替え支援　「一般社団法人移住・住みかえ支援機構 (JTI)」の活用
• 査定、流通　「優良ストック住宅推進協議会 (Sumstock)」の活用

　本件で提案した長期優良住宅普及の為に「まるごとホームイング・長期優良住宅仕様」キャンペーンの全国展開や自社ＨＰ、情報誌への掲載、実施建物を借り上げて「現場見学会」の実施などを予定している。
　また、本件を通じて得られたノウハウや包括的改修システムを当社物件のみならず、広く一般の鉄骨住宅やアパート、マンション等の改修へと展開する為の礎と位置付け、良質な住まいのストックと快適な生活を供給して行きたい。