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平成21年度 第1回 長期優良住宅先導的モデル事業紹介

平成21年度 平成20年度
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ストック型社会における共同住宅の提案 (大成建設グループ)

大成建設 株式会社
〒163-0606
東京都新宿区西新宿1-25-1

●基本コンセプトについて

 長期優良住宅の普及・波及のためには、耐久性や可変性を確保するだけでなく、建物を購入・使用する側の視点に立ち、良質な住空間の確保、長期にわたり維持される価値の創造までを含めたものづくりを行うことが重要である。
 そこで、ゼネコンとしての技術力を活かした企画、大成建設グループのコラボレーション事業だからこそ可能となる製販管一貫となったきめ細かい対応により、長期優良住宅に関する総合的な提案を目指した。
 長期にわたって資産価値が維持され、ライフスタイルの変化に伴う可変性を有する住宅を実現する為に、後述の4つの指針をもとに提案を行った。

●先導的な提案の内容について

1. 環境に配慮し、長期に維持・保持される価値を創造する
 企画段階から当グループの保有技術であるエコロジカルプランニング手法を適用した。
 計画地および周辺地域を地学的特性、生態的特性、気象的特性の3つの側面から多元的に分析し、その分析結果を元に計画を検討した。例えば生態的特性分析に基づく計画では、地域の風土に適した植栽計画により、緑のネットワークの小拠点となる緑地を創出し、周辺に生息する生き物の誘致を図った。また、居住者に対しても植栽の維持管理活動を通じて、人と緑の持続的な関係が築けるよう参加を呼びかけていく。その他、長期に渡って環境負荷を低減していくため、自然エネルギーの活用や省エネルギーのための工夫を各所に提案した。
 地域特性に配慮した居住環境を創造すること、その維持管理に居住者が携わることで居住空間への愛着心を育む提案を行った。
 
2. 長期に住み続けるための機能を備える
 長く住み継がれる質の高い居住空間を実現する為、躯体の耐震性・耐久性を高め、居室空間の可変性と設備の更新性を向上させる様々な工夫を提案した。
 具体的には、耐震性・耐久性を高める工夫として、当社の保有技術である杭頭半剛接合構法を採用した。杭の主筋を基礎に定着させず基礎を杭頭部に載せた構造とすることで、杭頭部の回転を許容し、地震時の躯体損傷の低減を図った。その他、耐震壁の上下に耐震スリットを設置する曲げ破壊先行型耐震壁 (特許出願中) などの技術を採用した。
 可変性・更新性を高める工夫として、柱・梁型が出てこないTWFS構造を採用し、レイアウトの自由度が高く質の高い居住空間を提案した。さらに、設備配管を集約したマルチシャフト、玄関周りやバルコニーの出入口・窓の位置が変更できる乾式壁+サッシによるクラディング、2戸1住戸化を可能とする住戸間コネクトドア、柔軟なプラン変更や床下配管の更新を可能にする床システムの開発等により、将来のプラン変更、設備更新を容易にする提案を行った。
 当グループの保有技術と今回新たに開発した技術を丁寧に組み合わせることで、可変性と良質な居住空間の両面を確保した。
 
3. 維持管理の工夫により長期に見守るシステムを展開する
 履歴管理の「見える化」を実現する建物カルテを作成・活用することにより、建物の維持管理活動に役立てる提案を行った。
 具体的には、建物カルテのシステムを構築し、施工者、分譲事業者が建物の施工段階、新築販売段階の記録を作成し、引渡し後は居住者に点検・修繕・改修の記録を作成してもらう。その記録を元に、必要なメンテナンスの検討や、長期修繕計画の立案を行う。それにより、資産価値を維持し、流通段階における履歴情報の透明性を高めることを可能とする。
 また、建物カルテによって記録を残した居住者を対象に、買取支援サービスを展開していくことで、長期優良住宅の流通を促進していく提案を行った。
 
4. 普及活動に努め長期に住まいを大切に使う心を育てる
 企画・施工段階から多角的に長期優良住宅の普及啓蒙活動に努める。
 具体的には、高い品質の確保と担い手育成のため、建築作業所において作業員と技術社員に対し、教育・啓蒙活動を行っていく。また、建物竣工後も維持修繕講習会やリフォーム相談会等を開催することで、建物を大切に使う心を育む提案を行った。
 その他、モデルルームでの技術解説、長期優良住宅ホームページの作成、リフォーム・住み替え支援等により、長期優良住宅に対する理解を深め、エンドユーザーや世間一般の意識を高めていく。

●今後の予定について

 建物を購入・使用する側の視点から考察した長期優良住宅というコンセプトを実現すべく、当グループが蓄積してきた建物の長寿命化に関する保有技術と、今回新たに開発した技術を組み合わせた共同住宅のあり方を提案した。
 「人がいきいきとする環境を創造する」という共通の経営理念のもと、大成建設グループが一丸となって当プロジェクトを推進し、普及・波及活動に努めることで、ストック型社会の促進に寄与していきたいと考えている。
平成21年度 第1回 長期優良住宅先導的モデル事業紹介
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