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平成21年度 第1回 長期優良住宅先導的モデル事業紹介

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100年定期借地権を活用した「地主」・「住宅所有者」・「維持管理業者」三位一体の持続的まちづくり

工藤建設 株式会社
〒225-0003
神奈川県横浜市青葉区新石川4-33-10

●基本コンセプトについて

 海外では古くても補強や修復を繰り返し、壊されない住宅やまちなみがある。それらは建物の耐久性よりもむしろデザインの良さやまちなみとしての愛着に加え、持続させるための仕組みと努力の存在が大きいと考えられる。
 本提案では100年間の定期借地権を活用し、「地主」・「住宅所有者」・「維持管理業者」三位一体の持続的まちづくりを試みるもので、「Garden Hill」プロジェクトと名づけた。長期優良住宅を実現するため、プロジェクトの大きな4本柱として―
  1. 美しい住宅地を実現する「マスタープラン」(住宅地計画) と「アーキテクチュアルガイドライン」(建築設計指針)
  2. 長期的に住宅地を計画どおり経営管理するため、住宅所有者と地主、維持管理業者で構成する「HOA (ホームオーナーズアソシエーション)」(住宅地経営管理協会)
  3. 住宅所有者、地主、HOAとの間で締結され、強制力を持って厳密に守られる住宅地の経営管理のルール「コミュニティルール」(住宅地経営管理基本契約約款)
  4. 住宅地の維持を経済的にサポートするために採用する「100年間の定期借地権」
―を掲げている。

●先導的な提案の内容について

1. 美しい住宅地を実現する「マスタープラン」(住宅地計画) と「アーキテクチュアルガイドライン」(建築設計指針)
【マスタープラン】
 「Garden Hill」のマスタープランは既に100年以上持続するイギリスのリースホールドによる住宅地、「ハムステッドガーデンサバーブ」等を参考にし、震災以前の横浜を髣髴とさせるレンガの外壁の建物による、長期間あきのこないクラシカルな普遍的デザインとした。これからの100年、そしてその先の時代へと「横浜らしさ」を継承することを目指している。
 また、中庭 (コモンガーデン) を最大限に確保し、各住戸はコモンガーデンを囲うように配置。テラスを設け、コモンガーデンを中心としたコミュニケーションが要求される環境を創る。適度にコミュニケーションが要求され、居住者が互いに相手の存在を認識し、尊重しあう環境は現代社会に欠如している「思いやり」を育み、セキュリティー装置に頼らない安全なコミュニティーを実現する
 
【アーキテクチュアルガイドライン】
 住宅所有者が変わっても戸別に建替えしにくいよう、権利的には1戸建てながら外観上は3連戸の長屋形式にする。また、将来の建替えや増改築にも独自のルールを設ける。
 
2. 長期的に住宅地を計画どおり経営管理する「HOA (ホームオーナーズアソシエーション)」(住宅地経営管理協会) の設立
 「Garden Hill」の地主、住宅所有者、維持管理支援業者 (当社) で構成する法人格を有する「HOA (ホームオーナーズアソシエーション)」は「Garden Hill」の居住者の財産および生活を超長期に守り、豊かにする目的で設立する。構成員はそれぞれ一票の議決権を有する。
 
3. 住宅所有者、地主、HOAとの間で締結され、強制力を持って厳密に守られる住宅地の経営管理のルール「コミュニティルール」(住宅地経営管理基本契約約款)
 美しい住宅地を長期的に運営することを目的に基本契約約款である「コミュニティルール」を定め、住宅所有者と合意契約を結び、公正証書として登録する。住まう人々が意識を共通化し「コミュニティルール」を遵守することで、高い資産価値を維持することが可能となる。
 住宅所有者はHOAに対して維持管理費用と修繕積立金の納付義務を負う。義務を履行しない場合、HOAは、基本契約約款の定めるところに従い、その住宅不動産の先取特権を差し押さえることができることとし、強制力を持たない区分所有法で定められた管理組合と違い、強制力を持って超長期にわたり住環境の維持に努めることを目指す。
 
4. 住宅地の維持を経済的にサポートするために採用する「100年間の定期借地権」
 定期借地権は土地の取得費が所有権にくらべ3分1程度になるため、土地取得の支出が抑えられる。その費用を長期にわたって美しいまちなみを維持するための管理費用と建物の長期修繕計画における修繕費用に配分することが容易になる。管理されたまちなみと長期修繕計画の実施を通し、メンテナンスされた建物は100年以上経ってもその美しさを保つ事ができるようになる。
 また、土地利用を共有とすることが容易でコミュニティーの環境を計画的に維持管理することが可能となる。「Garden Hill」においては土地の権利を「準共有=1/6の賃借権の持分」にすることで住まう人の意識の共有化をより強固のものにすることを実現する。
 100年間の定期借地権は、一般的な住宅ローンの償還期間である35年を過ぎても残存期間が65年あるため、セカンドマーケット(二次流通)にも強くなる。そのため中古市場でも資産価値が下がることなく十分持続可能と考える。
平成21年度 第1回 長期優良住宅先導的モデル事業紹介
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