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平成21年度 第1回 長期優良住宅先導的モデル事業紹介

平成21年度 平成20年度
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『伝統文化を現代に取り入れ、融合させる住まい』先導的モデル

QBC・優良工務店の会 北陸支部
〒920-0211
石川県金沢市湊2丁目111番地

●基本コンセプトについて

 日本の住宅には、旧来より季節の変化に負けない、自然と順応した作り方があった。
 この提案は、その地域に生きる文化に根ざした旧来からある気候・風土に合った日本の住宅の良い所を基に、現代住宅の快適性・法基準等を融合させ、地域として顔の見えるより良い住まいとしている。
 そこで、下記の10項目を考えた。
  1. 冬場の積雪、晩秋の雪起こしの雷雨、夏の強い日差しの遮断、冬の暖かい日差しを取り入れるなどの対策として平入りを持つ切妻屋根で軒先が長く深みのある「長ひさし (軒の出4尺〜5尺)」とし、構造的な工夫を加えデザインした屋根とする。
  2. 梅雨の大雨、夏の結露、冬の雪から建物を守るために、高耐久性基準よりも高さを高くした、GL+450mmの立ち上がりに加え、構造計算をしたべた基礎で耐久性の向上を図る。
  3. 旧来の住宅の良さを、現代の基準法に合わせ、更に性能表示基準のランクを上げた基準とし、しかも建設性能評価まで受ける。
  4. 雨水桝を、自宅前だけでなく宅内にも用い、梅雨時期や冬の積雪時の雨水処理をする。
  5. 屋根は、4寸以上の勾配の瓦 (地元産) とし下地には、杉ムク板、ゴムアスルーフィングで、スガモリ・結露・雨漏れ等を防ぐ。
  6. 床の間・床柱・花を生ける飾り棚を設け、北陸の心の文化を守り、日本家屋の持つ畳・障子・木を生かし、洋のLDKとの融合を図る。
  7. 柱や土台は、むやみに太いものは使わず、繊細で美しいディティールを保つために4寸角 (120mm×120mm) とし、長持ちするための木材 (ヒノキ) で耐久性を保つ。
  8. 外観については、平入りの長ひさし・格子を標準仕様とし、その柄・デザインの工夫によって住む人の顔がわかる家づくりの手本となる。
  9. 内部には、自然素材と現代のエネルギー効率を考え、珪藻土を使用したり、収納の内部に桐板を使用することで、機械に頼ることなく調湿が出来、省エネにも繋がる。
  10. 省エネ対応商品を標準仕様とすると共に、ソーラーシステム・家庭用燃料電池など機械による省エネも提案する。

●先導的な提案の内容について

 基本性能 (性能表示制度における、劣化対策等級3、耐震等級2、維持管理対策等級3、省エネルギー対策等級4) はもちろんのこと、全ての項目に対して高いレベルでの設計・建設の二つの性能評価書を取得することで、住宅の資産価値も向上し履歴の整備にも繋がる。
 構造材等をJASに定められた耐久性区分D1の樹種のムク材で国産材 (乾燥材) を使用することともに1階外周部の使用材料はヒノキのみを使用することで耐久性の向上に繋がり、劣化対策等級をUPさせる。
 また、性能表示における構造計算を基礎及び構造躯体に取り入れ、多雪地域では耐震等級2以上、その他の地域では等級3を確保する。筋交の基本仕様は3寸角たすき掛けを標準とし、耐力壁の数を少なくしながらも耐震性を向上させると共に、可変性のある住まいとすることが出来る。
 階段下収納又は床下収納より入ることが出来る、床下100cm、幅75cm、長348cm程度の配管点検及び作業スペースを設けることで、点検・修理及び交換が容易になり維持管理性が向上する。
 そして、躯体天井高2.7m以上、住戸面積を75m²以上、主要な居室のある階の床面積40m²以上とすることで可変性のある良質な住空間を確保することが出来る。
 日本の気候・風土に根ざした建築の伝統・文化 (長ひさし、格子、平入りを持つ家、床の間等を持つ和室など) を継承し、現代に取り入れ、融合させることで新たな街並みの形成に繋がる。そして、時代とともに文化が息づく「住まい」となり、新しい街並みにも徐々に馴染んでいき、文化が息づく更に新しい街並みを形成することが出来る。
 維持保全計画等については、定期点検 (引渡し後の半年・1年・3年・5年・5年以降は5年毎) の予定を含んだ75年に渡る維持保全計画書を作成し、居住者に引渡すと共にその記録の作成のサポートを行う。また、新築時の確認申請書・設計図書・設計及び建設性能評価書・10年の瑕疵保証書・工事記録写真の履歴保存を第三者機関 (住宅長期保証支援センター、JBNサポートセンターなど) に住宅履歴の保存をCD-ROMに収録し、居住者・会員 (工務店)・第三者機関の三者で保管する。

●今後の予定について

 場見学会・完成見学会を開催しながら、HP等による情報提供及び情報公開、長期優良住宅の普及啓発物の作成と配布、メディア (新聞・チラシ等を利用) への広告、そして広告物には必ず長期優良住宅を入れるなど地道な活動を行っていく。
 また、性能表示制度による設計性能評価書・建設性能評価書を、全棟・全項目取得することで、性能表示制度の普及を図ると共に、日本の気候・風土に根ざした建築の伝統・文化を取り入れ、継承しながら良質で長持ちする「住まい」を、提供して行きたいと考えている。
 その結果、
  1. 高性能住宅の建設が地域に普及する。
  2. 安全で安心出来る快適な住環境と住宅の維持。
  3. 住宅生産者と居住者による確実な維持保全の実施と記録の作成・更新が出来る。
  4. 長期に渡る住宅の使用・維持保全を通して地球環境にも貢献する。
  5. 長期優良住宅の普及により、地域の活性化を図ることが出来る。
 などが、成果として期待できると考えている。
平成21年度 第1回 長期優良住宅先導的モデル事業紹介
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