長期優良住宅 Web

平成21年度 第1回 長期優良住宅先導的モデル事業紹介

平成21年度 平成20年度
長期優良住宅先導的モデル事業とは? 平成21年度 第1回長期優良住宅先導的モデル事業紹介 平成21年度 第2回長期優良住宅先導的モデル事業紹介 第1回超長期住宅先導的モデル事業紹介 第2回超長期住宅先導的モデル事業紹介 REPORT NEWS

土塗壁木造住宅の高断熱化普及促進事業

協同組合 東濃地域木材流通センター
〒509-7203
岐阜県恵那市長島町正家613-10

●基本コンセプトについて

 岐阜県の東濃地域はこれまで伝統的な東濃桧を使用した木造の民家が建築されてきたが、最近では住宅の洋風化が進み東濃桧の化粧柱を現す真壁造りの住宅が建てられなくなっている。このため、これまで大切に育てられて来た、東濃ヒノキ材の価格も著しく下落している。また、土壁を塗る技術を持った左官職人や伝統的な架構による大工工事も激減し、大工・左官技術者の転職や廃業が続き、業界の高齢化と後継者育成が深刻な事態となっている。
 このような状況下で、東濃桧を使用した伝統的な土塗り真壁仕上がりの高断熱住宅を実用化し地域材の利用拡大と伝統的な大工・左官技術を応用した、超省エネルギー住宅の開発を行い、木造住宅を時代の要請にあった性能で地域内に再び、普及させることを目指し、国土交通省の平成21年度 (第1回)「長期優良住宅先導的モデル事業」に応募し採択を受けた。

●先導的な提案の内容について

 地球温暖化対策が叫ばれる昨今、次世代省エネルギー基準の性能を超える高断熱住宅が岐阜県東濃地域でも建てられるようになって来たが、ここで建てられている高断熱・高気密住宅は東濃地域に最適な技術が使われているとは言えず、東北や北海道あるいはフランチャイズ等の技術に寄るところが多く、その結果、夏季にはオーバーヒート、冬季には室内乾燥や全室暖房に伴う暖房エネルギー消費量増加等、改善を求められる課題も多く残されている。
 
 これらの課題を解決するため、かつて東濃地域で一般的に用いられていた土塗り壁の調湿性能と熱容量を利用し、最新の高断熱化技術を取り入れた超省エネルギー住宅の実用化を目指し、国土交通省の平成20年度「地域木造住宅市場活性化推進事業」により建設された土塗り壁高断熱化実験モデル住宅を利用し基礎データの収集を行うと同時に普及促進活動を実施する。
 この実験モデル住宅で使用される東濃ヒノキの柱や松の梁・桁材などの木材そして、土壁の原料である土・藁・小舞竹などはアルミや鉄・コンクリートと違い、建築時に温暖化の原因となる二酸化炭素の発生が無く、土塗り壁には蓄熱効果や調湿機能・耐震性の向上も期待できる。また、外周部の柱・梁・桁の構造材に150mm幅の材を使用する事により、躯体部分 (スケルトン) 構造と断熱・気密を確保し、内部は20〜30年間に1回程度の内装・設備の改修工事が出来る構造として、長期間の建物利用を可能とする。
 採択されたモデル住宅では熱損失係数 (Q値) を1.3〜1.6W/m²Kとし、次世代省エネルギー基準の1/3〜1/4程度のエネルギーで全室冷暖房が出来る性能とした。
 実際に建てられた実験モデル住宅は試算値ではあるが熱損失係数 (Q値) 1.35W/m²K・暖房エネルギー消費量は次世代規準の1/11と当初計画の1/3以下のエネルギー消費量で暖房が可能な値となっている。
 以上のような背景から今回、採択された「土塗壁木造住宅の高断熱化普及促進事業」を、地域循環型木造住宅産業の先導的モデルとして普及促進を図る。

●今後の予定について

 協同組合東濃地域木材流通センターは、岐阜県東濃地域で生産される東濃ヒノキの共同販売事業と共に木造住宅の普及促進活動・木造住宅の設計・施工技術向上のための講習会・研修会を施設創設以来、継続的に開催している。
 この技術研修会の中で、永年取り組んできたテーマが木造住宅の高断熱・高気密化に関する技術で、この分野の研究では日本の第一人者である室蘭工業大学建築社会基盤系専攻 鎌田紀彦教授の指導により高断熱・高気密住宅に関する研修会を実施して来た。この結果、既に組合員や取引先工務店の多くが木造住宅の高断熱化に関する高い技術を取得しており、これらの大工・工務店を対象に今回採択された「土塗壁木造住宅の高断熱化普及促進事業」の実施に必要な技術研修会及びモデル住宅を使用した現場研修会を開催し施工技術の普及を推進する。合わせて一般、消費者に対する普及促進活動としてセミナーや現場見学会等を実施し「土塗壁木造住宅の高断熱化普及促進事業」の消費者に対する認知度を高める。
 
・普及促進のための事業計画
  1. 組合員を対象とした事業説明会の実施
  2. 組合取引先工務店を対象とした事業説明会の実施
  3. 組合員を対象としたモデル住宅の見学会の実施
  4. 組合取引先工務店を対象としたモデル住宅の見学会の実施
  5. 市民を対象とした事業説明会の実施
  6. 市民を対象としたモデル住宅の見学会の実施
  7. モデル住宅に関するパンフレットの作成
  8. モデル住宅で「土塗壁木造住宅の高断熱化普及促進事業」横断幕の掲示
  9. モデル住宅の性能評価のためのデータの測定・分析
  10. その他
 古来より、東濃地方には「本家 (ほんや) 普請は三年分の兵糧を蔵に積んでから始めよ」と言う言葉が残っている。
 住まい造りは、材料を良く吟味し、腕の良い棟梁と良く相談して、三代住まい続けることができる家を建てるのが本家普請の原則であった。従って、良い建物は修理しながら大切に永く住まうことができる。
 以上のように、これまで先人達が努力し創りあげてきた伝統的な民家の技術と、同様に永い歳月を掛け風雪に耐え育てられた東濃ヒノキ材・環境に負担を掛けない藁、土、竹等の材料を利用して、省エネルギーで快適な生活ができる風土に根ざした、「土塗壁木造高断熱住宅の普及」による地場産業としての木造住宅産業の再興を目指す。
平成21年度 第1回 長期優良住宅先導的モデル事業紹介
Top Page 平成21年度 第1回 長期優良住宅先導的モデル事業紹介 INDEX