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平成21年度 第1回 長期優良住宅先導的モデル事業紹介

平成21年度 平成20年度
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「宮城の伊達な杉・みちのく奥州杉」の家

株式会社 山大
〒986-0842
宮城県石巻市潮見町2-3

●基本コンセプトについて

 合理化認定システム YP-21 TYPE II S06B-02を基本に建物の超寿命化を計る。
 宮城県内41社の『宮城の伊達な杉の家を創る会』の会員と宮城県及び宮城県建築振興協会、県森連、森林組合、民間素材業者等宮城県内の地域ネットワークで実践してきた「地産地消の家づくりシステム」を宮城県の隣接3県に展開する。(岩手県25社・山形県70社・福島県50社)
 『みちのく奥州杉』という地域素材ブランドによる「地産地消の家づくり」を展開することで東北地方における、森林の計画伐採と計画植林による安定した木材の供給を先導し、「循環型社会形成」と長期優良住宅の東北地方への浸透に寄与する。

●先導的な提案の内容について

地産・地消 地域材の持続的な活用
 地域毎に地域素材の全面利用を図り、森林組合との連動で地域の活性化を図る。
 東北地方における森林の計画伐採と計画植林による安定した木材の供給システムを構築する。
 
技術・技能の継承
 『宮城の伊達な杉の家を創る会』の会員と、『みちのく奥州杉の家を創る会』の会員を中心に、地域の工務店、設計業者、部品部材の供給業者のネットワークを形成し、長期優良住宅先導的モデル事業の東北地区への推進を図りながら住宅の質と施工技術の向上を図る。又、次世代の職人の育成に努めて長期優良住宅の安定供給につなげる。
 
長期間安心して住み続けられる居住空間
 構造フレームの許容応力度計算を全棟実施し、「性能表示等級2」以上を基本とし、災害時の安全を図る。その他、基本性能基準以外でも性能評価を受けることにより安全で快適な居住空間を確保する。「高齢者等配慮対策等級2」とする。地盤、基礎及び躯体部分の瑕疵保証部分には第三者機関の保証をうける。
 
素材
 素材供給は宮城県内の県森連・森林組合・民間素材業者との連携し近県3県に関しても森林組合との連携も確保できており、自社林 (宮城県、福島県) の供給も開始しており、今後も連携を強化していきたい。
 『宮城の伊達な杉の家』では、軸組みは宮城県産優良木材でもある『宮城の伊達な杉』を土台 (K3) 柱・梁までを使用する。この『宮城の伊達な杉』はすべて宮城県産木材で柱・梁材は、樹齢50年〜70年の根元から2番玉までの直径24cm以上の赤太部分の木材で、これをNEO DRY乾燥にて表面でD20以下、中心部分でD25以下に乾燥させたもので、これまでと比べ中心部まで人工乾燥させることにより建築後の割れ・曲がりをより少なくし、構造体や建具・仕上げ材への影響を少なくすることができる。特に乾燥を強化することにより次世代省エネの気密による割れ、曲がりを少なくする。『みちのく奥州杉の家』でも、地域毎に「近くの山の木」を素材として製材し、仕様は『宮城の伊達な杉の家』に準拠する。
 木材はチッパーキャンター製材機から、自動桟積み、「ネオドライシステム」による高温低湿乾燥 (燃料はバークを使用)、天然乾燥による養生後の修正挽き、コンピュータ管理されたプレカットによる邸別出荷までの工場ラインと、品質管理を市民に公開しながら、安心して使うことのできる「エコマテリアル」である国産材への理解を深める。
 住宅の性能面については工務店間の性能の均質化を図るため、基礎や躯体部分については、第三者機関の保証を受けることとしている。基本要件の性能確保の措置として基礎の強化を図り、ベタ基礎を採用した上でコンクリートの強度を「日本建築学会でいう、100年間大規模な修繕が必要ないという基準」である30kNまであげることにした。さらにコンクリートの中性化と鉄筋のかぶり厚の確保を確実に行い、基礎本体の寿命を100年確保する。
 木材は森林組合などと協力して県内の森林の計画伐採と計画植林による安定した地域木材の供給体制を構築している。この人工乾燥木材「宮城の伊達な杉」は樹齢50〜70年、直径24cm以上の中目丸太からとる。
 構造材は、芯材から製材される角材で、柱・土台はすべて赤身。狂いが少なく耐朽性に優れた材で長期間使用する柱や土台にも適している。羽柄材は、同じ丸太からとれる芯去り材で狂いが生じにくい。
 維持管理対策では、スケルトンとインフィルに区分し、スケルトン100-200年、インフィル20年に耐用年数を定め、対応を考えた。具体的には配管や配線などを点検・メンテナンスしやすいように工夫したほか、可変性を確保するための措置として、(1) 外壁面を耐力面材とし、不足した分を集約化することにより、間取りの自由度確保や将来の変化に対応する (2) 可変ゾーン部分の天井高さを統一し、納まりは床・天井勝ちとする (3) 910mmピッチで格子組の梁を組みネダレス合板等で水平剛性を強化する―ことなどを盛り込んだ。

●今後の予定について

 今回のネットワークの試みは、地元工務店のつくる住宅のさらなる品質向上と施工精度改善のみならず、「書類管理」、「所有者へのメンテナンスのありかた」などのノウハウの共有、それが消費者への普及へ大きくつながることとなる。また今後、ネットワークで繋がる工務店が連携して公開する広告等についても消費者にとって大きな話題になることが予想される。
 第一回の採択の結果、工務店のなかで展示場として活用しながら (分譲住宅) の普及・啓蒙活動もしており、今後の継続することで寄与していきたい。
平成21年度 第1回 長期優良住宅先導的モデル事業紹介
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