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第2回 超長期住宅先導的モデル事業紹介

平成21年度 平成20年度
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高齢世帯所有の部屋ストック有効活用の可能性
〜ホームシェアプログラムによる活用提案

NPO法人ハートウォーミング・ハウス
〒155-0033
東京都世田谷区代田1-35-18

●基本コンセプトについて

 NPO法人ハートウォーミング・ハウスは、いままでの家族や住まい、福祉といった既成の概念にとらわれない、シェアな暮らし、『みんなと暮らせばもっと楽しい!』を実現することを目的としたNPOである。世田谷区内の2カ所(北沢と烏山)で、シェアハウスを実際に運営しながら、シェアの概念の普及に努めている。
 高齢者の増加、中でも一人暮らし高齢者の増加と、その「家族縮小期における」住宅の有効活用を目的にした取り組みが先進各国で広がりつつある。なかでも価値のある住宅を有しながらうまく活用できない高齢者と、収入の少ない若者を結びつけるという異世代間のホームシェアは高齢者の在宅、長年住んでいた環境での生活を可能とし、安全面、交流、そして自立の手助けなど心的効果への評価もある。また、若者たちにとっても、経済的な面だけでなく、家庭的な雰囲気の中で生活することができることもメリットである。
 本提案は、「社会的資産」となりうる潜在的な空き部屋があることが予想される現状を受けた、本格的シェアプログラムの提案である。高齢者の多くが持つ「住み慣れたまちに住み続けたい」という希望を実現するため、日本における住宅を所有する高齢者と、収入の少ない若者とを結びつけるシェアのマッチングプログラムのあり方を探り、調査を元にして具体的な展開の仕方について提案するものである。

●先導的な提案の内容について

 シェアプログラムを実現するためには、不動産の価値を創造し社会資産としてのストックを創出するハード面の取り組みに加え、ホームシェアというプログラムを通じて、シェアの良さ (人と住むあたたかさ、人のネットワークの拡大など) を伝達するソフト面の取り組みも重要になる。具体的な内容としては以下の通り。
  1. 登録:高齢者所有の空き部屋を登録してもらいシェアハウス市場に流通させる。
    →不動産価値がゼロと認識されている、住宅の不動産価値の創出。
  2. アドバイス:高齢者所有住宅のハウスシェア仕様への改修のアドバイスを行う。
    →ハートウォーミング・ハウスの実績から導き出される、より良い関係を保つためのハード面での整備。
  3. 提案:シェアを希望する若者に対してハウスシェアを選択肢のひとつとして提示する。
    →新しい形の異世代間ライフスタイルの提案
  4. ホームシェア:シェアを希望する若者と空き部屋を提供する高齢者へのホームシェアの仲介
  5. 社会に提示:ハウスシェアという異世代間のシェア居住というライフスタイルを社会に提示・提案
 そこで、本提案の検証を進めるため、(1)「ホームシェアに関する意向調査」、(2)「シェア居住実験」、(3)「流通システム検証実験」を実施する。
 (1)「ホームシェアに関する意向調査」は、若者と高齢者のマッチングを行う際の課題を把握するのが目的。なじみの薄いホームシェアに対して、懸念されている事項の把握、世代ごとのホームシェアに対する認識を把握する。
 (2)「シェア居住実験」は、シェアの約束事の作成と、改修チェック項目の作成を目的にしている。モデルケースによる詳細かつ具体的なシェア居住の生活実態を把握し、住宅内での問題の抽出、物理的な問題点、改修の必要性を検討する。
 (3)「流通システム検証実験」の目的は、ハウスシェアのマッチングと空き部屋流通に関する課題の把握。プログラム試行による具体的なハウスシェアのマッチングの課題を把握し、空き部屋の応募が一定量確保できるか、流通が円滑に行われるかの検証を行う。
 
効率的な住宅の循環利用が可能に
 日本でホームシェアプログラムを展開するにあたっては、単に空き部屋としての「ストックの流通」のみと捉えるのではなく、「高齢者が住みつづけられるまち」を目指し、シェアを通じて生まれるコミュニケーションを基礎にした、豊かなコミュニティづくり、いわゆる「まちづくり」の視点にも注目する必要がある。
 本提案では、ホームシェアのプログラムの検証や情報蓄積を、NPOとしての強みを生かし、ハートウォーミング・ハウスが地域密着型で進めていく。このように地域密着型で進めることにより、地域単位でのプログラム認知や広がり、地域の住宅に関する情報を多く得られることが期待できる。これにより、さらに効率的な住宅の循環利用が可能になり、しいては「高齢者が住みつづけられるまち」を意識した展開が可能になると言える。
ホームシェアプログラムのイメージ

●今後の予定について

 今回の実験から得られたデータを元に、シェアをしやすい住宅設計の提案を行う。
 日本の現状の住宅では、建物の構造や部屋のつくりなど、ハード的にシェアをしにくい状況もあると考えられる。これらの状況をできる限り少ないリフォームで改善できるようなポイントを今回の実験を通じて抽出する。さらにそこから単に改修だけでなく、新規に設計する段階から反映できるような提案を行う。これによって、シェアの件数の増加を促し、住宅の循環利用につながり、それがひいては超長期住宅の普及につながることが期待できる。
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