第2回 超長期住宅先導的モデル事業紹介

　「住宅の主役」は、お住まいになるお客様であり、そのサポートは住宅会社の役割である。一方、住宅を新築・購入したお客様が住み続けるとは限らない。
　その住宅が、増改築・リフォーム・流通 (相続・売買・賃借) されても住み継いだお客様が維持管理し続け、住宅会社がサポートし続けることによって、長期にわたり使用可能な良質なストックの形成が可能となる。そのためには「住み継がれる住宅の継続的な改修の仕組み」及びそれを側面から支える「履歴情報」「維持管理」等について、お客様を総合的・持続的にサポートする仕組みが重要となる。本提案の骨子は「住み継がれる住宅」にとって必要な「継続的改修のしくみ」の構築という点であり、超長期に亘る住宅の利活用に資するものと考えている。
　提案にあたっては、「いいものをつくってきちんと手入れして長く大切に使う」という超長期住宅先導的モデル事業の趣旨にそって、以下の基本コンセプトを掲げた。
〈いいものをつくって〉
・改修着手にあたり、劣化診断及び、耐震 (精密) 診断を実施する。
・改修は新築部門にて要求されている基本性能相当の性能を確保し、住まい手の安心として保証する。

〈きちんと手入れして〉
・住宅履歴を記録・保管して必要情報を開示。
・定期点検を実施し、必要なメンテナンスの啓蒙・改修実施により、再保証する。

〈長く大切に使う〉
・住まい続ける以外に、要望により住替え支援・買取りを実施し、住まいの履歴・保証は引き継げるようにする。

　また、提案の対象となる住宅は、ミサワホームの建物のみならず、在来軸組工法による一戸建住宅も対象とした。

〈新築・基本性能相当の性能を実現〉
　改修により向上させる各種性能はミサワホーム建物、在来軸組工法による建物いづれの場合も性能表示制度における下記の等級を確保する。

	MGEO-Rの設置イメージ
	Mウッドを使用したインテリア空間

　構造躯体の耐久性…等級3相当
　住宅の耐震性…等級2相当
　内装・設備の維持管理の容易性…等級3相当
　変化に対応できる良質な居住空間…等級3相当
　省エネルギー性能…等級3相当
　
〈ミサワホームが開発した技術の在来軸組住宅への転用〉
　改修する建物については耐震診断資格者による耐震診断(精密診断)を実施し、必要に応じた耐震補強を行う。更に在来軸組住宅についてはリフォーム用制震装置MGEO-Rを設置する。
　また、内装の窓・ドア枠、巾木などにはミサワホームオリジナルの合成木材「M-Wood」を使用する。「M-Wood」は工場廃木材などを再利用したリサイクル建材で、デザイン性・耐久性が高く、日常の手入れや傷がついた場合の補修が容易といったメンテナンス性も具備している。
　省エネルギー性の確保においても、柱寸法により所定の性能を確保するだけの壁厚さが足りない場合は、超薄型の真空断熱材を用意し、増し貼り等で対応する。
　
〈「新・お客様サポートシステム」等の運用〉
　別項で紹介した新築住宅での提案、「新・お客様サポートシステム」を、在来軸組住宅を含む改修建物にも運用する。このシステムは住宅が長く住み継がれていくために、お客様と共に維持管理のPDCAを回し、総合的、持続的にサポートする仕組みであり、改修建物にお住まいのお客様にも、専用Web (オーナーズクラブ) によりDIY・維持管理部品等のWeb販売等、お客様による主体的な維持管理をジャストインタイムでサポートすることが可能となる。
　また、同様にミサワホームの新築建物用に開発した「住宅履歴情報管理システム (MECIA)」を改修建物にも運用し、基本情報・契約図面・工事・維持管理書類等をデータとして作成・保存・活用・開示する。
　さらに、ミサワホームの改修建物は将来、耐震診断に則り改修を再度実施することにより、建物保証付きの優良ストック住宅 (SumStock) として売却が可能となる。
　また、ミサワホーム及び在来軸組改修建物は耐震・耐久性について建物診断(劣化診断)を実施し、必要な補強・補修工事を施すことで、一般社団法人移住・住みかえ支援機構の「マイホーム借り上げ制度」を活用し転貸ができ、既存住宅の資産価値の維持・向上が図れる。

　今回提案のホームイングモデルについては、ミサワホームのホームページ上に「まるごとホームイング・超長期リフォーム仕様」として専用ページを制作・公開し、合わせてミサワホーム入居者向け情報誌や入居者専用Webなどにより全国規模で告知する。本事業による改修物件については、一部を一定期間借り上げ「超長期リフォームモデル棟」として一般公開する。