長期優良住宅 Web

第2回 超長期住宅先導的モデル事業紹介

平成21年度 平成20年度
長期優良住宅先導的モデル事業とは? 平成21年度 第1回長期優良住宅先導的モデル事業紹介 平成21年度 第2回長期優良住宅先導的モデル事業紹介 第1回超長期住宅先導的モデル事業紹介 第2回超長期住宅先導的モデル事業紹介 REPORT NEWS

京都型リノベーションシステム

株式会社 ゼロ・コーポレーション
〒603-8242
京都府京都市北区紫野上野町108-1

●基本コンセプトについて

 古い街並みを残す京都には、狭小敷地、狭小間口、接道条件等の理由で、建築基準法上建て替えが出来ない、いわゆる「再建築不可」の木造建築物も多く存在し、これらの建物は建て替え等の更新がされず、メンテナンスも行われないままに老朽化が進んでいる。「京都型リノベーションシステム」は、そのような市内密集市街地の現状を踏まえ、危険家屋と呼ばれるこれらの木造建物の耐震性及び防火性、耐久性等の建物性能を向上させ、構造材や化粧材にできるだけ市内産材を利用した改修工事を行うことにより、既存建物の寿命を延ばし、低炭素型社会の実現に向けて良質な社会ストックとして再生させるリノベーションシステムである。さらに、改修後の建物に対し、10年間の構造保証をするとともに、点検やメンテナンスの情報、履歴を保管し、長期的な維持管理システムを構築する。

●先導的な提案の内容について

住宅性能の向上
 原則全面的改修工事を行う。木造軸組工法のメリットを生かし、解体時に柱・梁等各部位の劣化状況を確認し、必要ならば各部材毎の交換を行う。耐震性能、断熱性能、耐久性、維持管理の容易性、耐火性能を上げることで、建築当時以上の建物性能を持たせ、さらに長期間の使用に耐えられる建物とする。
 具体的には、鉄筋入りベタ基礎への変更、軸組みの腐食部分の入れ替え、耐力壁を追加等により耐震性能を上げ、通気工法(外壁)や防蟻工事等により耐久性能もアップさせる。また、床下の配管は露出配管とし、給水にはヘッダー式配管システムを採用、基礎部には人通口を確保し、点検やメンテナンスをしやすくする (維持管理の容易性)。さらに、壁・天井・床にグラスウールを施工して断熱性能を上げ、防耐火性能の向上のため、外壁にはサイディング、内壁にはプラスターボードを施工し、火災報知機も設置する。
 
京都市内産材の活用及び古材の再利用
 京都市産業観光局の支援を得て設置された「京の山杣人工房事業」の供給窓口である「森の窓口」より、京都市の認証を得た地域産材「みやこ杣木」を供給してもらい、北山杉をはじめとする市内産材を、本工事にて可能な限り使用する。
 この「森の窓口」は弊社の住宅展示場内にも設営されており、柔軟でかつ迅速な対応及び連絡が可能である。産地と消費地が近いことで移送コストも削減され、安定した供給を得ることができる。市内産材の需要の拡大により京都市の森林整備は促進され、地産地消のシステムを活性化させる。
 また、本工事の家屋解体工事時において、既存家屋で使用されていた良質な建材を一時的に保存し、改修工事時に化粧材等として再利用する。また、弊社が保管している他現場の解体時に発生した良質な建材についても、施主の希望があれば原則無料提供し、本工事において化粧材等に再利用する。廃棄物削減による低炭素化への貢献活動となる。
 
維持管理・保全計画
 既存住宅の改修工事においては、改修前の建物内部構造やメンテナンスの履歴が不透明であることから、維持保全計画および改修後の保証は施工者側のリスクが大きいという現状がある。
 本提案では、設計図書を始めとする改修工事の記録を一括保存し、その後のメンテナンス記録も当社オリジナル「住宅履歴情報システム」にてデータベース化、長期的な建物管理を行う。また、独自の定期点検シートを作成し、点検およびメンテナンスを行いながら構造10年保証を実施、さらに、10年目以降についても有償点検による最長20年までの保証延長も可能とする。
 また、転売時にこれらの記録を購入者に開示することにより、施工者および購入者双方にとって瑕疵に対するリスクが軽減され、中古住宅の流通促進にも貢献する。

●今後の予定について

 弊社は、京都市内を中心に新築住宅の開発分譲を行い、過去10年間で約1800棟の完工実績を持ち、狭小敷地、狭小間口での建物の建て替えをメインとして事業を展開しているが、今回の提案モデルを構築することにより、建築業者として高品質で長寿命な新築住宅を供給するだけでなく、改修工事においても柔軟かつハイレベルな対応ができ、その後も適切なメンテナンスを提供し続けられる技術を蓄積する。
 昔は地域に深く根ざした「棟梁」といわれる大工が存在し、新築工事から改修工事までを請け負う建築のスペシャリストとして、その家やその地域に深く、そして長く関わっていた。本提案を通し、棟梁制度が崩壊した現代において、いつまでも家や地域と深く関わり合うことのできる関係を築き、さらに能力を高めながら、新たな棟梁制度「大棟梁制」の復活を目指したい。
第2回 超長期住宅先導的モデル事業紹介
Top Page 第2回 超長期住宅先導的モデル事業紹介 INDEX