第2回 超長期住宅先導的モデル事業紹介

　日本の既存住宅で超長期住宅を促進させる場合、住宅の大半を占める木造住宅への対応が急務であり、平成15年の住宅土地統計調査 (総務省) を元にした国土交通省推計では、戸建木造住宅約2450万戸のうち約1000万戸について、旧耐震基準の建物であることなどから耐震性が不十分と指摘されている。今回のモデルは、既存木造住宅の構造優良化を効率的に図る点と維持管理計画に基づく改修適時期の顧客への情報提供の実施を基本に、住宅の長寿命化を図る提案である。

　構造優良化については、オリジナル耐震改修技術等を活用し、顧客の「大切に引き継ぎたい」という今の住まいへの愛着をそのままに、基礎の耐久性、上部構造の耐震性、維持管理の容易性を高める。維持管理の継続性については、維持管理計画に基づく次回改修予想と適時期の邸別告知等により、施主自らのメンテナンスを支援し、世代が代わっても安心して快適に住み続けられる超長期住宅へ向けてサポ─トする。
　
〈独自の現場調査システムによる確実な既築建物調査の実施〉
　確実で効率的な建物診断のため現況をオリジナルシステムで把握した上で、木造住宅産業協会による耐震診断 (一般診断) を実施し、必要な補強改修工事を計画・提案する。
　
〈既存建物を活かし、建物の耐震性・耐久性を向上させるオリジナル技術の活用〉
　費用軽減と工期短縮を実現するオリジナル改修技術により、顧客への工事負担を軽減する耐震補強リフォーム工事の提案及び、既存の給水・給湯配管をヘッダー方式へ変更する事により維持管理をしやすくする。

	※ガラスブロック耐力壁 ((財) 日本建築防災協会 DPA-住技-16) リフォーム実例

〈維持管理計画に基づく改修予想システムと改修適時期の邸別管理〉
　顧客ごとの改修記録を管理し、改修履歴管理を邸別に行うことで、適時期の改修アナウンスを実施する。
　
〈建物長寿命化やメンテナンス情報発信により、顧客自身のメンテナンスを支援〉
　家族が大切に住み続けてきた住まいを、愛着をもってさらに住み続けて頂くために、顧客向け情報冊子を通してメンテナンス手法をわかりやすく解説し、お客様自身によるンテナンスを支援する。
　
〈定期点検および最長10年の保証実施〉
　改修規模により一概ではないが、最多で引渡し後3ヶ月目、1年目、2年目の定期点検、構造躯体・防水工事に関して最長10年の保証を実施する。

　本モデルの実施により、長寿命化のための効率的技術やシステムの検討・開発に役立てる。また、現場見学会やホームページなどで「住友林業ホームテックの超長期モデル」を啓蒙することで、顧客ニーズを的確に掴みたいと考えている。これらにより、今後更なる住宅の優良化、長寿命化のための取り組みをリフォーム事業を通して目指したい。