第2回 超長期住宅先導的モデル事業紹介

　宅の超長期化に向けた取組みを行う上で、私たちはそこに住まう方が何世代にもわたり、安心して暮らし続けられる住宅を提案すると同時に、その資産価値が長期にわたり維持されていく事が重要であると考えた。その為に、今までの「丈夫な家を建てる」というハード面からの提案のみではなく、立地特性にあった「人と地球にやさしい住宅」を創出し、住まう方が自ら住まいに愛着をもち、長く大切に使い続けたいと考えていただけるような新しい枠組みを検討した。
　提案者が考える超長期住宅とは『高い資産価値を保持し、長期にわたり維持管理していくだけの価値が求められるマンション』

1. 地域の特性を生かした人と地球にやさしい住宅の創設 ⇒ つくる
3. 居住環境と住宅の長期使用に対する居住者意識の促進 ⇒ 意識する
4. 将来にわたり長期性能を維持していくシステムの構築 ⇒ 維持する

1 (つくる)-1 地域特性にあった街並みの形成
　多摩田園都市構想の原点である「緑あふれる住環境の維持」をコンセプトに擁壁・屋上の緑化をはじめ、敷地内の緑化率を法規制10%に対し50%とするなど、街並みと居住環境に配慮。
　「青葉区」「美しが丘」にゆかりのある樹種 (日本在来種) を主体とした植栽計画を実施。
　
1 (つくる)-2 パッシブ主体の環境コントロールと高い基本性能

1. コンクリートの計画供用期間を約200年と見据え、耐久設計基準強度を36N/mm²以上とする
2. 非破壊検査実施による躯体信頼性の確保
3. 「ライオンズマンションコンクリート建物のひび割れ対策」マニュアルを更新
4. 住宅性能評価書耐震等級2を取得し、極めて稀に (数百年に一度程度) 発生する地震による力の1.25倍に対して倒壊、崩壊しない耐震性能を確保
5. ボイドスラブ、扁平梁、耐震壁内蔵梁、SI化した構造形式により、間取りの可変性を向上
6. 可変式外付ブラインド (日射を80%カット)、換気機能付玄関ドア・通風用防犯ストッパー付サッシの採用 (夜間冷気の導入)、バルコニーでのシェード・グリーン、ドライエリアの植栽設置およびミスト散布 (打ち水効果) 等を計画し、住環境の向上を目指す
7. 共用部照明のLED化、電気自動車対応型機械式駐車場などの導入

2 (意識する)-1 環境性能の可視化に対する取組み
　日本大学理工学部環境・情報研究室協力のもと、温熱環境解析ソフト「サーモレンダー」を用い、「従前建物」「本計画建物」「経年変化を経た本計画建物」の温熱環境変化をシミュレーションし、将来予測も含めた緑化計画を行うとともに、視覚的データを居住者、近隣住民に提示。また、住戸内は気流解析ソフト「ストリーム」を用い、環境効率の良い住まい方等を提案する。
　東芝ホームアプライアンスの住戸内ネットワークにより、パソコン・デジタルテレビ・携帯電話で使用電力量、CO2削減量の数値化・グラフ化等「見える化」した上で、エコポイント等のインセンティブにより居住者の省エネ行動を促し、住まう方の自発的な継続が可能な仕組みを構築。
　
2 (意識する)-2 超長期住宅の積極的公開に対する取組み
　マンションギャラリーにおける「建物・構造断面模型」等による公開、着工後の「現場説明会」の開催。
　
2 (意識する)-3 建物竣工後の環境影響についてのモニタリングの継続
　入居後も環境解析を行い、専門的有識者による居住環境向上に対するアドバイスを実施。測定結果は管理組合へ報告し、維持管理の基礎データとして活用する。
　
3 (維持する)-1 基本性能を維持し続けるシステムの構築
■超長期にて維持管理を行う

1. 専有部、共用部共に5年毎に定期点検サービスを実施し修繕、更新、交換履歴を把握。また、50年周期の長期修繕計画を作成し、実行を提案。
2. 住宅履歴書システムの構築
   　各住戸の情報を一元管理し、修繕・リフォーム等の履歴を記録。住宅の適切な維持管理に役立てるとともに、転売時においても正当な評価が可能となる。

3 (維持する)-2 超長期住宅の流通促進等に対する取組み
■居住者が変わっても、超長期にわたり資産価値が保持できるよう流通市場の活性化を行う

1. グループ間の住宅履歴書システム活用による建物情報共有
2. 住宅履歴書完備の物件に対し、「売却時の仲介手数料優遇制度」・「特別買取保証制度」・「売主の瑕疵担保責任免除」を導入

　大京グループは、これまで6,000棟以上のライオンズマンションを供給・管理してきた実績を活かし、グループの力を集結し、超長期住宅実現に向けたサポート体制の構築・普及を目指したい。