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第2回 超長期住宅先導的モデル事業紹介

平成21年度 平成20年度
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UR賃貸住宅「ヌーヴェル赤羽台」B・C街区

独立行政法人 都市再生機構
〒231-8315
神奈川県横浜市中区本町6-50-1

●基本コンセプトについて

 本提案は、第1回目採択の「UR賃貸住宅『西ヶ原一丁目』」と同様、昭和30年代に供給された団地の再生事業の一環として、既存住棟解体後の敷地に新築される賃貸集合住宅である。また、同様に東京23区内における当機構の賃貸住宅の標準仕様である「機構型スケルトン・インフィル住宅 (KSI住宅)」をベースにした提案となっている。KSI住宅は、賃貸住宅の事業者として、より耐久性と汎用性を備えた躯体 (スケルトン)、及びスケルトンと住宅の内装や設備 (インフィル) との分離を考え方の基本とした仕様である。
 しかしながら本件は、3,000戸を超える都心近接立地の建替事業の一環であり、また、一時期に1,000戸近い大量の住宅を供給する集合住宅群における提案であることが、前回提案と異なる特徴となっている。この特徴から導き出される先導的提案とはどのようなものか、ということから、提案の検討がスタートした。また、ハード的な面 (耐久性、更新性) への配慮に加え、ソフト的な面からのアプローチにも重点を置いた。

●先導的な提案の内容について

 2共用排水管の取り換え容易性、2戸1化など将来の住戸規模の変更や水廻りを含めた間取りの可変性の確保などについては、超長期住宅の先導的モデルとしてなくてはならない要素であると考えられため、前回提案と同様に今回の提案にも盛り込んだ。今回の建替対象の従前住戸には、単身世帯向けの小規模な住戸が含まれており、ここにお住いの方が建替住棟に移っていただけるよう、今回提案の住棟には30m⊃程度の小規模な住戸も配置するが、この規模の住戸については、すべて2戸1対応可能な仕様としている。通常、当機構が建設する集合住宅の戸境壁は、耐力壁として構造の応力を負担させる構造形式としているが、2戸1化対応の戸境壁は、乾式壁として設計している。なお、2戸1化は、小規模住戸を2戸隣接させて行うことを基本としているが、一部の小規模住戸については、大型住戸と乾式壁で隣接させ、一部の大型住戸の面積可変性をも実現する計画を提案している。このような将来の2戸1化等の住戸規模可変については、区分所有建物では現実的に難しく、当機構が単一所有者だからこそできるものであり、その可能性について、将来イメージなどを提示し、将来の住宅の商品企画につなげていけるものとする。
 本件は、複数の大規模住棟により街区が形成される計画であるため、複数の設計事務所により実施設計を行ったが、建物立面等、屋外景観に影響のある部分の調整については、当機構の担当者及び設計事務所が一堂に会する「デザイン会議」を実施。すでに完成している建替住棟を設計した建築家を交えて調整の場を設け、設計者の独創性を尊重しつつ景観の連続性への配慮について議論を重ね、設計図面に反映させてきた。
 また、住棟を囲み型に配置することにより、通りに面して建物立面が強調される景観となるようにし、建物の立面を連続性を意識した設計とすることで、よりよいまちなみ景観の創出に寄与するよう工夫した。
 今後の周辺エリア建設計画において、景観の先導事例となりうるものを本提案において示し、周辺エリアへの影響を期待する。
 従前団地には、団地建設時に創設された「花木園」、イチョウ並木等、まとまった面積で育った豊かな緑が多数存在する。これらの樹木を保存、活用するため、従前住棟解体時には一時的に仮植し、本件建物建設後に再び移植して従前団地の土地の記憶を継承する。
 従前団地の建設以前の当該土地は、旧陸軍の被服廠が存し、遺跡調査によりレンガによる建物基礎が多数発掘された。この建物基礎を屋外空間のスツール (ベンチ)、住棟サインの基礎等に再活用し、土地の記憶を継承する。
「ヌーヴェル赤羽台」の概要

●今後の予定について

 UR都市機構では、地球環境への配慮、良質な社会ストック形成などの観点から、建物の骨組みである躯体や共用部分 (スケルトン) と、居住者のライフスタイルや家族構成の変化に対応できる住宅の内装や設備 (インフィル) とを分離した、スケルトン・インフィル住宅 (SI住宅) について、経済性をより重視し、実用性と汎用性を兼ね備えた独自の機構型スケルトン・インフィル住宅 (KSI住宅) の実験、視察を長年に亘って推進してきた。
 今後は、国が進めている「長期優良住宅 (200年住宅)」の趣旨に鑑み、これまで蓄積してきた機構型スケルトン・インフィル住宅(KSI住宅)のノウハウに加え、耐震性や可変性、更新性の検証は然ることながら、超長期に亘り、ここに人が快適に住み続けられるために求められる仕掛けについて、汎用化、標準仕様化につなげていくために、今回提案した内容を検証していく。
第2回 超長期住宅先導的モデル事業紹介
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