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第2回 超長期住宅先導的モデル事業紹介

平成21年度 平成20年度
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近鉄Air wood超長期住宅モデルプロジェクト
・近鉄白庭台分譲住宅超長期プロジェクト

近鉄不動産住宅 株式会社
〒542-0076
大阪府大阪市中央区難波2-2-3

●基本コンセプトについて

 「住宅の長寿命化を図るには、住宅供給者のものづくりへのこだわりと、所有者の維持管理への前向きな姿勢が同じベクトルで作用する事だと考える。そこで「いいものをつくって、きちんと手入れして、ながく大切につかう」を「建物・維持管理・流通」に置き換えて総合的な取り組みを提案した。弊社は、関西を中心に大規模な住宅地開発を手がけ、今までに培った街造りへのこだわりと超長期の視点から、「住環境」と「超長期住宅」の融合が資産価値を高めるものと考え、デベロッパーとしての街づくりと、住宅供給者としてのものづくりを提案した。

●先導的な提案の内容について

1) 建物の先導性
 近鉄不動産住宅は、関西で一早く高気密高断熱住宅「Air wood」を手がけており、それをベースに先導性を付加した提案をおこなった。
  1. 構造躯体の耐久性
    • コンクリートの中性化対策と基礎外断熱に伴う防蟻対策
       中性化防止と温熱的有効性に伴う防蟻対策として、プレキャストコンクリート (PC) の型枠を提案した。長期間にわたる基礎コンクリートの懸念は中性化だが、この中性化に対して屋外からの鉄筋までの距離を確保した。基礎断熱により屋内への水分供給の可能性が非常に小さく鉄筋の腐食進行時間は長いと考える。基礎外断熱は、外気温の影響を受けにくく品質上優位だが、温暖地域の防蟻に苦慮するところである。PC型枠によりこの問題の解消が可能となる。
    • 結露予防に取り組む:温熱サポートシステム
       屋内の温熱環境を継続的に測定する事で、異常な値を検知し結露の発生原因を分析して早期に対応する。結露を検知した場合は、生活スタイルの改善アドバイス、若しくは、建設時の外張り断熱に充填断熱を付加することにより、低下した熱損失の改善が可能となる。定期的に報告書を提出し、維持管理に対する意識の向上に努める。
  2. 内装、設備の維持管理の容易性:居住者が維持管理出来る仕組み-入居者でもリニューアル可能な内壁リフォーム
     居住者は劣化により住宅に対する愛着が低下しがちである。そこで内壁を塗り壁として、メンテナンス時には表面塗装でリフレッシュすることで、入居者の維持管理への参加を提案した。
  3. 街並みや景観への配慮:アーツアンドクラフツの思想に基づく住宅デザインの街並み創り
     屋外を共有財産とした考え方を通して住宅地開発を進め、如何に調和の取れた環境を創造できるかが大きな要素だと考える。飽きのこないデザインの街並みは、年数が経過しても古びない街並みを形成できる。デザインや外装素材はロングセラーが重要であり、更新・交換の容易性が増し、住宅の使用年数を延ばす事が可能である。又、街としての資産価値を高める工夫として、プロムガーデンの設置や環境共生住宅の導入を行うこととした。
  4. 地域産材の活用と山林の活性化
     山林の手入れが行き届かない現状では、害虫スギノアカトラカミキリによる被害材が大量に存在し、放置されている。この被害材は、貴重な山林資源として活用されていないため、奈良県森林技術センターの物性試験を踏まえ、奈良県地域認証センターの基準に合致した材を構造躯体に使用することとした。それにより被害材活用による木材の商品価値向上に向け、超長期住宅を通して、この未利用材を奈良県認証材として積極的に採用し、需要を創出する。
2) 維持管理の先導性
  1. 長期維持管理計画の導入
     メンテナンスの継続性を図るため、「近鉄生涯ふれあいサポートシステム」を導入する。個々の居住者に対し、時間軸での保障期間・メンテナンス計画・点検時期等を分かり易く表現したシートを作成する。特に維持管理の目安となる長期修繕費用(LCC)を記載することにより、建設時の仕様選択の判断や将来の維持管理費用の目安を認識することを目的とした。
  2. 資産価値の査定
     一定時期ごとに住宅価格の査定を行い、資産価値の維持に必要な修繕項目とそれに伴う費用、又、推定残存耐用年数を報告する。又、近鉄不動産住宅の建設した超長期住宅を査定する際、木造建物評価加算表に基本性能などを新たに設定することで、残存価値を引き上げ所有者の維持管理の必要性と流通の際の優位性を図る。
3) 流通の先導性
建物継続保証制度
 瑕疵保証や住宅供給者のアフター保証は、転売時に失効するため中古住宅の価値を下げる要因の一つとなっている。しかし、超長期住宅を普及させるには、「住宅供給者による保証」への変革が必要であると考え、転売後も「アフター履歴の継続・アフター継続保証」の制度を導入し、良質な中古住宅の流通を促進することとした。安心して次に引き継がれ、建物継続保証は資産価値の維持向上につながるものと考える。

●今後の予定について

 注文住宅事業の公開モデルハウスと、当社開発団地の白庭台住宅地に分譲住宅を建設する。又、近鉄ケーブルネットワークと連携して継続的にテレビ放映することにより、より広く超長期住宅への意義を訴えていく。さらに本事業以外の住宅も「基本的性能」を満足して長期優良住宅の促進を図るものとする。現在進行中の住宅地開発において、この度の提案を積極的に取り入れ、資産価値のある街づくり (住環境) と資産価値のあるものづくり (建物) を推進する。
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