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第2回 超長期住宅先導的モデル事業紹介

平成21年度 平成20年度
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ワークショップ「き」組の家

ワークショップ「き」組
〒165-0023
東京都中野区江原町1-46-12-203

●基本コンセプトについて

 ワークショップ「き」組では、従来の一方的な家づくりではなく、住まい手を中心とした山や職人、設計者との直接契約による協働の家づくりを目指している。お互いのつながりがオープンになることによって、価格や仕事の流れがよく見える共存共栄の仕組みである。
 山の木がうまく循環し、建てられた家は、世代を超えて住み続けられ、日本の伝統が守られていく家づくりは、みんなが元気になる家づくりである。
 これまでの当ワークショップの取り組みをベースに、今回、超長期住宅先導的モデル事業の提案を行った。

●先導的な提案の内容について

高耐久の躯体を目指す
 使用する木材はすべて4寸以上、土台・管柱はもとより、通し柱は断面欠損を考慮して6寸、大黒柱も6寸以上の骨太の架構で、丈夫で長持ちする高耐久の家を目指す。基礎は立ち上がり400mm幅150mm、ベタ基礎ネコマとする。場合によっては地盤改良を行う。

ワークショップ「き」組の家のイメージ
足固め貫工法+面材による多重の耐震性
 木組の家は耐震性を高めるために、耐力壁に足固めと貫と面材を併用。地震の規模に応じて段階的に働く多重のセーフティ機能を持たせている。また壁量計算ソフトによる壁量の確保、偏芯、引き抜き力の少ない壁配置を実現している。阪神大震災で粘り強く倒壊しなかった貫工法を見直し、偏芯のおきない壁のバランスと水平構面を確保している。
 
メンテナンスのしやすさに配慮
 維持管理を容易にするためには、主構造部分に不変的木組みを採用 (スケルトン) し、設備造作部分 (インフィル) が生活の変化に応じて可変であるように分離して配置することが良い。設備配管は、ヘッダー方式としベタ基礎上に設置。メンテナンスしやすいようにパイプスペースを確保し点検口を設ける。また外部との接続には、横抜き排管とし掃除口を設置する。
 
自然素材の内装と広がりのある空間構成
 良質な居住空間を実現するため、素材は無垢材の柱、梁あらわしに漆喰塗りの真壁構造とし、床や天井には杉の厚板を使用する。無垢の木は漆喰とともに室内の温度と湿度を調整する機能を持っている。
 さらに室内壁の欄間にガラスを使用すること、吹き抜けをつくること、天井を張らない屋根なりの気積の大きい空間をつくることなどは広がりのあるデザインにつながる。
 室内の空気を新鮮にする方法として、空気の自然な循環を促すため、吹き抜けなどの室内の高低差を利用し越屋根を設けることが有効である。さらに断熱効果を高めながら自然換気をすることで、温熱環境に配慮した家となる。
 
維持管理スケジュール
 建物の引渡し時には図面、保証書の類を第三者機関に保管管理委託。そのほかに住まい手には「メンテナンスガイド」を作成し、日常の維持管理方法を提示。その後1年3年5年の点検を続け、履歴を保管する。この単位をワンクルーとし途中のリフォーム情報を加えながら、10年ごと20年ごとにリフォームと履歴保管の更新を繰り返し、100年目には大規模改修スケルトン再生に対応する。点検時にはそのつどアラームで住まい手に告知する。
 
工事記録・サーバー・グループによる保管管理
 木組の家を定期的にメンテナンスし、長期にわたり資産価値を維持するために以下の提案を行っている。
  1. 住宅性の評価を採用し、公的第三者機関の検査記録を整備する。
  2. セキュリティと信頼性の確保されたデータサーバーを利用して長期にわたり住宅履歴情報を保管する。
  3. グループ内で情報を共有し、住宅事業者の存続にかかわらず、情報が保持される仕組みを構築する。
トレーサビリティの実現
 メンバーの山 (産地) から直接木材を購入することによって、植林費用が山に返る仕組みを確立している。産地の状況、伐採時期、乾燥状態、強度などの履歴をバーコード化し、トレーサビリティを実現している。

●今後の予定について

 ワークショップ「き」組では、山と職人を結ぶネットワークを構築。メンバーは山4社 (秋田、徳島、東京、天竜)、工務店9社、設計者3社の協働チームによって、住まい手に適正価格で「木組の家」を提供。5年間で17棟建設している。
 また、木造住宅「私家版」仕様書 (1998年エクスナレッジ発行) 伝統的な木組の家づくりの実用書を出版。実務者向けの「木組の家」を学習するゼミナールを5年間実施。実務者の連携は全国に広がりつつある。今後の課題は、一般ユーザーに向けた「木組の家」の普及啓蒙活動である。多くの山や職人に実践の場を提供することが、この仕組みを支える原動力となる。
 そのためにも今後、各地のイベントに参加したり、公開見学会を随時開催していきたい。
第2回 超長期住宅先導的モデル事業紹介
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