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第2回 超長期住宅先導的モデル事業紹介

平成21年度 平成20年度
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一条「夢の家」超長期モデル

株式会社 一条工務店
〒135-0042
東京都江東区木場5-10-10

●基本コンセプトについて

 何時・何処で・何回地震が発生しても建物を確実に残し、居住者の生命と屋内の資産・財産を完全に守ることができる免震構造を、弊社提案における超長期モデルの核とした。
 震災後の心的外傷 (トラウマ) や建物内外装の補修にかかる手間や費用といった、居住者の精神的、肉体的、経済的な負担を大幅に低減すれば、長期に渡る建物利用の環境を維持すると共に、持続的な使用が可能である。
 つまり、「良いもの」を「長持ち」させるためには「建物」だけでなく「居住者の生命と財産」の全てが健全な形で存続することが必要であり、その実現には免震構造の採用が必須であると考えた。
 本提案の核である免震性能を超長期間維持するために、装置をシンプルなものとし、基礎コンクリートや鉄骨土台梁の耐久性向上をはじめ、免震層のきめ細かいメンテナンス体制や保証制度、取扱い方法の伝承といった企業のサポート体制に対する様々な仕組みを提案した。
 こうした仕組み作りは、弊社が戸建免震住宅において普及促進の牽引役を務めるために必要な使命であると考えている。

●先導的な提案の内容について

 提案内容が多岐に渡るため、主に免震構造に係る事項を記載する。
免震構造の概要
(1) 建築段階において構造部材の耐久性能を可能な限り向上させる。具体的には、基礎スラブの品質基準強度を長期共用級 (33n/mm²) に上げ、鉄筋のかぶり厚を基準法より2cm増やす。免震装置 (積層ゴム、スライダー) の紫外線対策を強化する。鉄骨土台梁には溶融亜鉛メッキを施し、JISが定める最高レベルの付着量に対して更に1.5倍とする。加圧注入による木材の防腐防蟻処理を行う。主要面材耐力部分に最も耐久性の高い構造用合板「特類」を使用し、更に防腐処理を施す。主要面材耐力部分の留め付けにステンレス釘を使用する。
 
(2)「免震構造を採用すれば如何なる住宅でも超長期住宅になるものではない」と考え、万が一免震装置に不具合が発生した場合においても耐震性を確保するために、上部構造に基準法が定める1.5倍の壁量を確保すると同時に、品確法の耐震等級3と同等性能を持たせる。面材耐力壁の釘打ち施工時のめり込みによる耐力低下を防止するため、工場にて釘打ち部分に薄鉄板をセットし、壁倍率に応じて釘位置を予めマーキングする。
 
(3) 環境に優しく居住者が快適で健康的な生活を持続させ得ることを重視し、省エネ大賞 (平成17年度) およびハウス・オブ・ザイヤー・イン・エレクトリック2007大賞 (2007年) 受賞の超省エネ住宅を免震層の上に搭載する。
 
(4) 上部構造の耐久性、維持管理、設備のメンテナンス性、変化に対応できる良質な居住空間等に対しては、2004年に取得したセンチュリーハウジングシステム (CHS) を準用する。
 
(5) 免震性能を超長期間維持するため、竣工点検、通常点検、定期点検、臨時点検、転売時点検の5種類の点検制度で居住者をサポートする。定期点検時に当社が必要と認めた有料メンテナンス工事を継続して行って頂くことで、構造耐力上主要な部分の保証を最長60年とする。なお、点検制度は60年を超えても建物が存続する限り継続実施される。
 免震層の点検に際して、床下点検口及び外周基礎部に専用の資材搬入口を設置して、工具類、交換部材の搬入が容易に出来る構造とする。床下での点検作業中に地震が発生した場合の作業者の安全確保を最優先し、建物外周部に固定装置を設置する。
 
(6) 免震住宅の点検を行う者は、社内で実施する免震に関する学科及び実技講習を受け、認定試験に合格した有資格者 (免震検査員と称する) に限定し、免震検査員が作成した各種点検報告書を公正な立場の本社免震検査委員が最終チェックする独自の免震検査制度を運用する。
 また、本社免震検査員は災害情報を常時キャッチする体制とし、災害発生後は即時に顧客管理システムに保管されているデータにアクセスして被災エリアの物件をリストアップし、早期の被害状況確認及び臨時点検を実施する。
 上記 (5) 〜 (6) の取り組みは2次以降取得者にも継続するため、資産価値が維持されて建替え抑制策となり、中古住宅の流通促進に繋がるものと思量する。
 
(7) 提案内容の運用には企業のメンテナンスサポートが要となるが、如何なる健全経営を永続しても企業の超長期存続を保証することは不可能であることを鑑み、部材の販売終了や企業の事業終了後でもメンテナンスサポート体制が永続できるよう、新規体制作りの準備資金、技術情報、顧客情報を、弁護士を有する信用機関に供託する。

●今後の予定について

 超長期住宅に関するカタログやパンフレット、ホームページを作成して広く情報を公開する。また、全国250展示場でビデオ上映会を行い、超長期住宅の優位性を分り易く説明する予定である。前述の啓蒙活動と同時に超長期住宅の公募を広く行うが、申し込み件数が補助金対象件数を上回り、補助が受けられない物件が発生した場合には、補助金対象件数以上の本モデル同等住宅を、通常価格より下げて建築、ご提供する方向で検討中である。
 本提案モデルのような「確実なメンテナンスに支えられた戸建免震住宅」は近い将来のスタンダードな住宅となり、超長期に渡る優良なストックになるものと信じている。
第2回 超長期住宅先導的モデル事業紹介
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