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第2回 超長期住宅先導的モデル事業紹介

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『しそう杉の家』の地域ブランド化による超長期住宅モデルの普及促進

株式会社 山弘
〒671-2533
兵庫県宍粟市山崎町須賀沢704

●基本コンセプトについて

 超長期住宅を実現するには、実際に超長期間の耐久性があることはもちろんだが、「手を入れてでも住み続けたい家」、「永く愛される家」にする必要がある。そこで当社の自社ブランドある、高耐久・超長期的にメンテナンス可能な住宅性能を有し、地球環境と共生する健康と自然にやさしい住宅「しそう杉の家」の地域ブランド化による超長期住宅の普及促進を提案した。
 「しそう杉の家」を単なる自社ブランドで終わらせるのではなく、この播磨地域全体でつくられる地域ブランドに成長させ、地域環境面、地域経済面、地域の文化面からも愛される超長期ブランドに育てていくことを目指している。
 このため、「しそう杉の家」のコンセプト、設計ルール、技術などをまとめたものを無償公開し、地域の多くの工務店が取り扱ってくれる『地域住宅「しそう杉の家」』へ育成していく。

●先導的な提案の内容について

 スケルトンの耐久性の面では、構造材に「しそう杉」を中心とした地元産の無垢材を100%使用する。防蟻処理については、化学物質を使用せず、100%天然材にこだわり、ヒバ油ヒノキチオールによる防蟻処理を行う。
「しそう杉の家」の外観
内観
 さらに、調湿機能を持つ壁材と通気工法の採用により、壁内結露が起きにくく、腐朽菌による構造材の劣化やサビによる金物の劣化を防ぐ。
 スケルトンの耐震性では、1間グリッドのプランニングにより耐震性を向上させている。
 維持管理の容易性の面では、給排水管の施工では、給水は集中配管、排水はころがし配管で基礎はさや管にて抜く。また、真壁工法により、構造部分のいたみやシロアリを早い段階で感知できる。基礎断熱の場合は、シロアリの点検がしやすいように施工する。さらに、一間グリット工法であることと、メンテナンスが効きやすい素材にて仕上げる。
 インフィルの可変性については、横架材の梁背をルール化して山側の供給をしやすくしている。また、一間グリッドによるプランニングであるため、間取りの変更がききやすい。
 次世代に引き継ぐべき住宅の質としては、セルロース断熱および通気工法により優れた省エネルギー性能を発揮。オプションにより、OMソーラーシステムによる太陽熱の利用も可能とした。
 街並みや景観への配慮に関する取組みでは超長期住宅を目指すにあたって、住人に永く愛され、そこに暮らし、その住宅を維持管理するためには、住宅だけでなく気候風土を理解した上で外観のイメージを作り出していかねばならない。そこで「しそう杉の家」の外観は、軒の深さ (軒先で910以上)、雨戸の戸袋の材質 (杉の鏡板)、ワンポイントとして一部開口部に格子を使う、庭の樹種など、決して奇抜ではなく、日本人なら誰しも懐かしさや愛着を感じることができる和風モダンと言える外観を目指す。
 維持管理の手法として、定期点検によるメンテナンスチェックを行うとともに、施主のDIYによるメンテナンスを援助する。引き渡し時の取扱・メンテナンス説明と引き渡し後も定期的にメンテナンス講習、自社作成のメンテナンスマニュアルを更新し定期点検時に渡す。また、24時間365日のコールセンターによるメンテナンスの相談も受付ける。
 維持管理記録の保存については、構造材1本1本の強度を測定しICタグに入力。全ての構造材に埋め込む。ICタグには切り出した山、製材業者名、加工業社名などの情報も入力。専用機械で読み込むことで情報が引き出せるようにする。さらに、構造材の強度を記入した一覧表とどこに使用したかがわかる図面を第三者機関にて半永久的にデータ保管する。
 家歴書も当社だけでなく、第三者機関へ書類一式提出しデータ管理を依頼する。管理ナンバーを大黒柱など目立つ所にプレートとして取り付ける。当社が廃業したり、書類一式が失われてしまった場合でも、第三者機関から図面やメンテナンス履歴などを引き出すことができる。

●今後の予定について

 商品開発について、山弘が参画運営している (協) しそうの森の木を通じて「宍粟市のSGEC認証林への取り組み」や「しそう材を使った新商品の開発」、「健康住宅の研究開発」への取り組みを強化する。
 また、当社はしそう材を含む兵庫県産木材の利用促進に向け「ひょうご木のすまい協議会」において、県内工務店、兵庫県林務課と共同で取り組んでいる。すでに6年 (×年2回) の実績のある産地見学会も実施しており、これらの取り組みをいっそう強化していく。
 さらに今回、新たに制作する「しそう杉の家性能ガイドブック」、ならびに街並み形成に向けたイメージ画像のWEB上での公開により、エンドユーザーだけでなく工務店に対しても「しそう杉の家」の普及啓発を行う。そして、部材や技術の供給は (協) しそうの森の木を通して行えるように体制を構築していく。
 将来的にしそう杉の家に取り組む工務店を増やし、地域ブランド住宅として定着を狙う。
第2回 超長期住宅先導的モデル事業紹介
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