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第2回 超長期住宅先導的モデル事業紹介

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遷都1400年を見据えて京都の環境・住まいを育てるしくみづくりプロジェクト

株式会社 ディー・エー・シー 彩工房
〒611-0021
京都府宇治市宇治戸ノ内53-1

●基本コンセプトについて

 超長期住宅のすべての要素 (住宅を構成する材料・部品・設備、それを支える技術・技能、居住者・設計者・施工者など関係者) は、超長期にわたり、建築当初の状態が維持されるわけではない。すべての要素は更新・取替え・生まれ変わること (居住者・設計者・施工者でいえば世代交代) が必然である。
 その前提に立って重要なことは、超長期住宅を構成するすべての要素をいかに維持、更新、世代交代を保障するしくみを構築するかである。
 しかも、京都は戦災を免れた狭小過密な住宅地域が点在し、超長期的にはすべてが建て替えられる。京の町家・街並みのよさを建て替え活動の中でいかに継承していくのか。一方で、外国産材に押されて衰退しつつある山と林業の復興はどうあるべきなのか。これらは超長期というよりも、むしろ緊急の課題である。
 以上のような現状と課題を考慮し、本事業提案を行う。その骨子は次の4つ。
  1. 京町家の建て替えを前提とした住宅を超長期に維持するしくみの提案。
  2. 建築と設備を一体として考え、地球環境の変化に順応できるしくみの提案。
  3. 山・住み手・設計者・造り手を育てるしくみの提案。
  4. 零細な林業・製材業・工務店を機能統合し、比較的規模の大きい住宅市場に結びつけるしくみの提案。

●先導的な提案の内容について

 まずメンテナンス性を向上するために様々な配慮を施す。例えば、庭や吹抜からの採光、屋根や壁、階段を利用した熱環境、空気環境をパッシブに計画する。居住者がガラリや通風孔を開閉することにより駆動させる仕組みとすることで、最小限の設備機器の設置となり、メンテナンスを必要とする機会を少なくする。
 また、エコマネジメントシステム (松下電工汎用品等) を利用し、ネットカメラで床下等の情報を家庭内テレビで確認できる設計とし、その情報がオンラインで住宅供給者に届くネットワークシステムをホームページ上で構築する。
 将来起こりうるエネルギーの変換に対応できる供給配管 (電気、水道、ガス、排水、情報等) とするほか、設備配管の屋外化を行い、修繕を容易にするといった設計も導入。加えて、配管種別を居住者が容易に確認できる設計を採用、居住者が日曜大工感覚で給水栓やコンセントが増設できるようにする。
 そのほか、情報配線の無線化や水周り設備の入れ替え容易性を確保するよう配慮し、将来の新技術導入を容易にするのも特徴のひとつだ。
 「メンテナンスしながら住む」という思想を住み手に意識させる仕掛けづくりも行う。
 具体的には、建築窓 (床下等の点検口にネットカメラを取り付けたもの) とエコマネジメントシステムを設置し、居住者がテレビ画面等で床下や設備運転状況の視覚的な確認が可能となる。また、その情報がインターネットテレビ電話 (市販品) で住宅供給者や京都環境建設研究会等の専門家に直結することで、劣化や異常を早期に発見でき、居住者の立場にたったタイミングで専門家の点検確認が可能となる。
 さらに、建築木材の手入れ方法を住宅供給者のホームページで公開し、居住者ができる点検方法等が分かりやすいしくみをネットワークで構築するといった取り組みも行う。
 本提案のもうひとつの大きな特徴が、京都環境建設研究会、京都鴨川建築塾の民間で自立的に活動している組織の連携により、超長期住宅のしくみづくりを構成する点だ。また、山・住み手・設計者・造り手を育てるしくみを構築することにより、その連携・活動のなかで超長期住宅を維持していくことを考えている。
 京都環境建設研究会では、京都産材を無垢の状態で活用し木材流通の革新的マネジメントを実践し、住宅生産の実績を上げている。
 一方、京都鴨川建築塾では、大工・工務店や設計者などが連携し、伝統の技術を時代に求められている形で伝承していく。大工・工務店や、木工業者などの技術者の育成も行う。
ネットワーク化による維持保存のしくみ

●今後の予定について

 京都環境建設研究会と建築塾は独立的に活動を展開してきたが、超長期住宅普及のためのしくみづくりが重要であるとの認識から、今後連携を強化することとした。
 また、本事業提案にある原木市場、製材所、工務店の連携・機能統合は現実に稼動しているが、一層の機能統合が必要であるとの認識から、連携・機能統合化への活動を強化している。
 さらに、木造で超長期住宅を建設・維持していくためには、それらを理解している設計者の確保・育成が前提となるため、その推進活動を強化することとした。
第2回 超長期住宅先導的モデル事業紹介
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