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第2回 超長期住宅先導的モデル事業紹介

平成21年度 平成20年度
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「国産自然素材無垢材の家」
  国産無垢材を用いた超長期住宅事業

株式会社 明城
〒444-1202
愛知県安城市城ヶ入町団戸173-16

●基本コンセプトについて

 国産無垢材自然素材を使用した超長期住宅に取り組む。伝統的な木造軸組工法と弊社が独自に開発した各種工法を採用することで、伝統を守りながらも、より耐震性に優れ、工期短縮を実現する。また国産無垢材の使用に加え、土壁や土葺き屋根瓦を施工し、三河という土地の気候風土に合った家を建設する。気候風土に合った素材と家を通じ、室内の体感温度が1年間を通して安定するなど、住まい手に優しい住環境をつくる。また、大工=技術者を正社員化し自社で育成する。さらに、現場施工方法を統一することで長期に渡る修理補修を容易にする。大工職人の個人技を生かし、分業制とすることで技術ムラを少なくし、チームで家づくりにあたるようにした。

●先導的な提案の内容について

■構造躯体の耐震性・耐久性
 耐震性・耐久性を高めるため、通し柱には桧材210mm角以上 (7寸角) を使用する。これは、1945年の三河地震、2005年の宮城県南部地震、2007年の石川県能登半島地震および新潟県中越沖地震の教訓として、通し柱が150mm角 (5寸角) 以下のものは被害にあったが、180mm角 (6寸角) 以上の家は倒壊を免れたという独自の調査結果をもとにした。
オブリーク工法
土壁パネル
 また、2階の床剛性を上げるため独自開発の「オブリーク工法」(特許取得) を採用する。胴差に2階梁を45度に取り付け、さらに杉板厚み40mm本実板を長さ90mmのCN釘で打ちつける。水平剛性が床倍率で4倍であることが、岐阜森林文化アカデミーでの実験で確認済みである。1、2階ともに床用根太をやめ、同じ杉材厚み40mm本実板を貼ることで床面の剛性を高め、同時に自然素材による床の断熱効果を高めた。また屋根についても杉材厚み40mm幅195mm本実板を屋根一面に釘打ちする「垂木レス工法」を採用し、屋根面の剛性も上げる。
 壁については「土壁パネル落し込み板工法」(特許申請出願中) を採用。パネルを工場でつくり、現場ではめ込みすることで工期短縮を実現した。杉材厚み40mm本実板+木小舞+土壁厚み45mmを外部の土壁下地材として使用する。室内は化粧材とすることで工事費を抑える。
 さらに、天井と壁に採用する「化粧パネル工法」(特許取得) も、工場でつくり、現場で取り付ける。工場でつくるため現場の仕上がりにおける技術ムラを少なくし、現場工数を減らした。自動車産業などの定年退職者が容易にパネルを作成することができ、人件費も削減できる。
 床面積40〜60坪位の家では建前当日から完成までを60日間を標準工事期間とした。また、工事費も当社比較で従来の20〜30%程度コストダウンを図った。なお、天井板や壁板仕上げは側面からビス止めし、天井や壁の裏側を目視で容易に確認できるようにしている。さらに床下も高さ460mmを確保し、平均的に日本人が床下点検できるスペースを設けた。
 
■長期に渡るメンテナス方法
 長期にわたり管理をしていくためには作り手と生活者との信頼関係がなければ進まない。そこで生活者と施工者が共同して行う住まいの点検を提案する。
 生活者に解りやすい点検方法を明記した写真や文章、図面等を生活者と弊社が共有する。弊社ではメンテナス専任担当者を置き、生活者と点検確認時期を連絡しあう。
 竣工時に実際に施工した内容に基づいた竣工図面を作成するが、各部の竣工図面に点検時期と点検方法を箇条書きする。生活者は○×方式で点検し、その結果をメールやFAXなどで報告してもらう。その点検用紙内容に基づいて、専門家が現場で再点検する。必要なら修理・補修をし、これを繰り返す。修理・補修箇所も記録し、保管していく。また、メンテナンスのための積立金により維持管理費を確保する。

●今後の予定について

 今後は、ホームページを充実させ、「オブリーク工法」を始めとする各種パネル工法とその施工内容を3分間程度の動画にし、説明する。
 また各種展示会にこれまで以上に積極的に参加し、国産の自然素材を一般消費者に知ってもらう機会を増やす。年に5回以上開催している現場完成見学会では、承認いただいているお客様に限って工事金額をオープンにしている。自然素材の良さはわかっても、金額が高ければ流通しないため、こうした情報提供も行っていく。
 加えて、NPO法人「三河自然素材家づくり研究会」を発足し、地元の木材や自然素材を使った家づくりの研究開発や普及啓発活動に取り組む。自然素材の良さを数値的に表す目的から、現在、3棟の実験棟を用意しているが、こちらに関しても、名古屋大学・静岡大学・三重大学と共同して実験していく。
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