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第2回 超長期住宅先導的モデル事業紹介

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キゴコチのいい家 シリーズBoxy

株式会社 三協建設
〒357-0047
埼玉県飯能市落合521-1

●基本コンセプトについて

 シリーズBoxyは、地元の無垢材をすべての構造材に用いたスケルトン・インフィル住宅。現しの梁は目視により劣化事象の確認を可能にした。また、電子タグを利用し木材流通トレーサビリティシステムを用いた木材の供給を行っているNPO法人「西川・森の市場」と連携した環境配慮型住宅である。この取組みは、地元の森林と直結した木材の供給体制による森林経営の安定化・活性化を通した環境保全と輸送距離短縮や加工効率によるCO2削減へ貢献する。トレーサビリティシステムによる木材生産 (出材場所)、加工 (加工者、日時、仕口等情報)、品質 (含水率、ヤング率) 等の履歴管理と家歴書システムへの情報登録により維持管理の容易性を高めた。このことで、必要木材情報の早期提供による立木伐採本数の低減や製材歩留まり向上による木材資源の有効な活用を実現した。
 かつての超長期にわたって建物を利用可能とする伝統的建築生産を復活させ具現化する。すなわち古民家では、新築時に補修や改修を想定し伐採した木材を何本かストックしていた。この取組みについては、森林の立木情報を持っている地場の山主 (NPO法人西川・森の市場メンバー) と連携し、山で木を育てながらストックする。補修・改築時は、何所にどのような品質の木材をどのような仕口で用いたかをSMILEシステムに記録し、その記録と同等の品質数値を持つ木を育林している森林から運び出し、工法等再チェックの上補修・改築を行う。その際、予め記録してある家歴書システムの維持保全計画書にその記録を更新する。長く住まうためには、その住まい手の維持管理が不可欠であるが、その家を取り巻く環境を整えることも大事である。

●先導的な提案の内容について

現しの梁
 主要な柱・梁は現しで使用することによって劣化の早期発見を可能にし容易に交換できるよう維持性を高めた。木を現しで使用することで調湿効果も期待できる。基礎の高さは地盤から400mmとし、定期点検や維持管理・補修工事の空間を確保した。外壁は外張り断熱の通気工法で蒸れを防ぎ耐久性を確保させた。柱・梁・土台の構造材に地元材 (西川材) を活用。環境に慣れ親しんだ木材を使うことで、耐久性や安定性を向上させた。
 シリーズBoxyは、現代的無限定空間の提案である。固定的壁での間仕切りを極力排除し、家族の成長に対応可能な空間を有している。将来改修工事を行った場合、環境に与える負荷も少なくできる。また、古民家としての再生も可能にした。梁・床及び主要な柱が現しであることから、補修・改築時壊す部分が極めて少ないため、住まい手自らも施工が可能である。
 シリーズBoxyは自らポケットパーク的空間を構成し心身ともに癒される家づくりを提案した。それは住まい手や来訪者或いは地域の方に和みと癒しを与えてくれる。
 25年を周期とするライフステージを設定し、住宅性能評価に基づく住まい手と工務店とが協力した維持保全計画を推進する。維持保全に関する計画を策定し、その記録をSMILEシステムに保存し住まい手及び工務店が共有する。維持保全計画に従って計画的な点検と、その結果判明した必要な補修・交換等を行う。補修・交換等の記録は、工務店がSMILEシステムに記録するが、住まい手が任意に行った場合には住まい手自身が記録する。
 共同提案者のNPO法人「西川・森の市場」は、森林所有者、製材業者、加工業者、建設業者、建築設計士、税理士、ケーブルテレビ等で構成されている。消費者と森林所有者とを直接結びつけ、立木販売することに木材の流通をコーディネイトする事を目的としている。また、森林育成と建築物が一体となった維持管理・更新体制を構築する。トレーサビリティシステムによって、木材の伐採・乾燥・製材・仕口加工などの流通における履歴が管理され、万一の問題発生時における原因の特定と補修等の早期対応が可能となる他、法改正による構造体の再チェック等が容易になる。

●今後の予定について

 20年、25年という短い期間にスクラップ&ビルドを繰り返してきた住宅業界にあって、自然が生み出した、再生可能な地域の木材 (西川材) を最大限活かしつつ、『長く、大切に、愛着を持って』住まうことのできる住宅を提案している。
 その一つの方法として、私たちはトレーサビリティを前面に打ち出しつつ、地域の山林を正常な循環型資源の生産の場に再生するために、川上から川下までが一体となったNPO法人西川森の市場との連携をもとに、地域独自の住宅生産体制を確立していく。林業が生業として成り立つことこそが、地域の木材振興につながるものと確信している。
第2回 超長期住宅先導的モデル事業紹介
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