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第1回 超長期住宅先導的モデル事業紹介

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既存木造住宅の超長期利用のための維持管理システム

有限責任中間法人日本増改築産業協会
〒104-0032
東京都中央区八丁堀1-3-2 佐藤ビル3F

●基本コンセプトについて

 リフォーム業界からみると、既存木造住宅は開けてみなければわからない未知の世界である。何故ならば増改築を実施する上で、現状の構造が長期的な利用に耐えうるような構造安定性を有しているとは言い難い事例に多数遭遇するからである。
 そのため、建物構造の安全性を確保した上で長期使用に耐えられるリフォームを行うためには、築年数の古い住宅だけでなく新築時の設計図書を有する比較的新しい住宅でも、リフォーム工事に際して行う現場調査から改めて現状の躯体構造を判断し、構造の安定性、耐震性等を再確認した上で工事が実施されることが望ましい。
 しかし現状を見ると、構造的な判断を後回しにして施主の望むプランや利便性を優先する傾向があり、超長期利用のための性能維持確保の点で劣るものがあった。一方、構造判断や補強等の工事を実施する場合においては、営業段階での判断と工事段階での対応に大きな違いが生まれる場合があり、予想外の経費増という問題を常に抱えており、これが施主の不信を買う大きな原因ともなっていた。
 そこでこの提案では、そうしたこれまでの住宅リフォームでのマイナスポイントを解決し、現状の木造躯体を適切に認識し超長期利用に耐えうる構造補強ができるように改善するために、維持管理、再度の増改築時の便益のための有効な方法として現状建築物の構造情報とリフォーム工事履歴の蓄積活用を行うシステムを構築する。
 特にリフォーム現場において、情報登録や情報検索を容易におこなうことができ、現地調査データを元に設計・計画情報から施工情報を階層的に蓄積することができる先導的なシステムとした。また、これらの情報を利用者(工事関係者も含む)が適時有効に活用できるよう関係者間の情報活用システムも構築する。

●先導的な提案の内容について

 この提案での基本的なシステムは、カメラ付き携帯電話等を現場での情報収集端末として活用する。
 誰でも簡単に現場情報を収集、分類して記録保存し活用できるようにした。
 基本的な利用方法は、まずカメラ付き携帯電話等から現場調査での建物現状の記録し、それをもとに現状の躯体を適切に認識し、超長期利用に耐えうる構造補強などの提案に役立てていく。
 また工事中の記録では、施工部位の確認、工事管理の情報収集を行い、施工管理に活用し工事品質の確保に役立てる。データはサーバーに集められ、自動的に邸別、部位別に自動的に分類され保存される。
 これらのデータは報告書として出力されるほか、以後のリフォーム工事や維持管理に活用する。主なポイントは次の通りである。
  1. 現場調査の情報収集・分析により木造構造躯体が超長期利用に耐えうる構造補強が必要か否かを迅速に確認できる

  2. 蓄積データの活用により超長期利用の維持管理計画の内容を確認することができる

  3. 現状建築物の構造情報とリフォーム工事履歴の両方を現場から直接蓄積できるとともに、多職種少量工事の複雑で面倒なリフォーム工事の現場管理にも、活用でき施工品質向上に寄与できる

  4. 維持管理が容易なように、リフォーム工事履歴情報は現場からでも検索ができるほか、これらの現場情報収集システムを活用し、多職種少量工事を円滑な進行させるための情報活用を行うことができる
既存木造住宅の超長期利用のための維持管理システム

●今後の予定について

 今回の「既存木造住宅の超長期利用のための維持管理システム」の開発に当たっては、会員企業が行うリフォーム工事での検証を行う計画である。
 全国60カ所の現場でこのシステムを使ってもらい、その有用性を検証するとともに、既存住宅の超長期利用のための基幹システムとして利用していく考えである。
 将来的には「リフォーム工事履歴」として日本増改築産業協会会員が一般的なリフォーム工事において活用できるようにしていきたい。
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