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第1回 超長期住宅先導的モデル事業紹介

平成21年度 平成20年度
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再築システムの家

積水化学工業株式会社住宅カンパニー
〒105-8450
東京都港区虎ノ門2-3-17

●基本コンセプトについて

 既存の鉄骨プレハブ構造の住宅をブロック単位で解体し、工場において抜本的な大規模改修を実施した後、再築するという提案である。これにより、次の内容が可能となる。
  1. 複数世代に渡るライフステージ・ライフスタイルの変化への対応 (間取り変更、配置変更、増改築、減築、移築、用途変更等)
  2. スケルトン改修による住宅性能のバージョンアップ (耐久性能、省エネルギー性能等)
  3. 改修時の住宅性能表示制度活用による消費者への情報提供と流通サポート
 本提案は工場における劣化状況の検査と補修を30〜50年程度のサイクルで繰り返し行うことにより、躯体を長期に活用するというリサイクルの考えに基づいたシステムである。

●先導的な提案の内容について

 通常の戸建住宅では新築として建設され、建設現場において点検又は補修・改修等を何度か行い、最終的に建物の寿命として解体される。現在日本では「滅失住宅の平均築後年数」は約30年であり、欧米のそれと比較すると著しく短い。建物が解体される原因は単なる物理的な劣化だけでなく、建物を取り巻く社会環境や所有者の都合によるところも大きい。また建設時には、耐久性のある最新の優良な住宅として建設された建物であっても100年後に社会的、個人的な要求を満足させる「優良ストック」であるかどうかは定かではない。本提案では建物の物理的な耐久性向上だけではなく、住宅を取り巻くソフト面での変化も考慮し、対応できる住宅改修システムとしている。
 
・超長期にわたる耐久性の維持及び向上
 ブロック単位で解体した建物をスケルトン状態で鉄骨構造の劣化状況 (接合部の状況や残存めっき量等) を検査し、劣化状況に応じて耐久性能の復元を行い、品確法の劣化対策等級2を満足できるようにする。また場合によっては、間取り変更等による躯体の構造補強等も実施することができる。間取り変更や構造耐力上問題ない場合には、既存基礎の劣化度の検査を行い、クラック補修やコンクリートの中性化抑制等の措置を施し再利用する。
 上記の改修は繰り返し実施することが可能であり、建物使用の超長期化を具現化することができる。
 
・超長期にわたる良質な住環境空間の維持
 前記の工場スケルトン改修により、現場では対応できないような改修が対応可能となる
  1. 床面積の変更が生じるような増減築
  2. 建物の基本性能 (断熱性能、高齢者配慮等)の向上
  3. 従前の建物建設時には想定されなかった法改正や新規技術への対応
 例えば次のようなお客様の要望にも対応することができる。子供が自立し会社を定年退職されたご夫婦で、現在居住の住宅や地域に大変愛着があり住み替えは望まないが、現在の住宅で生活し続けるには、住宅の規模や断熱性等の面で生活しにくいと考えられている場合。このような場合には減築による建物規模の最適化と断熱、加齢配慮等の改修を行い既存住宅の快適性向上を図ることにより、お客様の要望に応えることが可能となる。全解体し建替えするのに比べ、コストや廃棄物発生量の抑制にも有利となる。
 
 ・再利用住宅を安心して購入できる仕組み
 本提案は部材を再利用するにもかかわらず、再利用する構造体も含め新築住宅の住宅性能表示制度を利用する。これも工場スケルトン改修を行うから可能であり、部材の検査、改修を適切に実施することができるためである。「再利用部材を使用した住宅」について市場の評価はまだ確定していない部分が多いため、新築住宅の性能表示制度を活用し情報公開することが住宅建材のリサイクル化普及のためには重要であり、優良ストックとして流通促進につながると思われる。
 
・廃棄物のリサイクル化の促進
 現場でブロック単位に分離し、工場で廃棄物と再利用する部材との分離を行う。工場では廃棄物を品目毎に再分別し、徹底したリサイクル処理を実施する。リユース部材 (構造体や基礎等) とリサイクル処理により最大で建物の約80%の部材を再資源化する。また残り約20%についても再資源化できない建材 (石綿含有建材等) を除き、外部委託により再資源化処理を行う。このため、超長期住宅先導的モデル事業の狙いの一つでもある環境負荷低減にも寄与することができる。
本提案における超長期住宅システムのイメージ

●今後の予定について

 まず、当社のWEBサイトにある「再築システムの家」をリニューアルし、当社の超長期住宅先導的モデル事業の内容を掲載し、対外的に公開していく。また事業を推進していくためには当社の住宅にお住まいになられている方のご協力が必要なため、お客様に配布している会誌等を通じ告知していく予定である。
 また、当社の住宅は超長期利用可能な再築システムに対応できる住宅として、新築の折衝段階から積極的にアピールし拡販に活用すると共に、住宅の長期利用に対する考え方を一般の方々に広く普及させるための一助となればと考えている。
第1回 超長期住宅先導的モデル事業紹介
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