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第1回 超長期住宅先導的モデル事業紹介

平成21年度 平成20年度
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超長期住宅先導的モデル分譲マンション事業 (吹田市、さいたま市)

株式会社長谷工コーポレーション
〒105-8507
東京都港区芝2-32-1

●基本コンセプトについて

 分譲マンションに求められる基本性能の確保と拡充による超長期住宅先導的モデルの事業化

●先導的な提案の内容について

1) コンクリートひび割れ低減技術
 鉄筋コンクリート造の住宅を長期にわたり供用するには、躯体そのものの耐久性が重要であり、一般的には水セメント比が小さいコンクリートの使用や鉄筋かぶり厚さ確保で対応している。しかし、これら対策で解消できない「躯体へのひび割れ」から、雨水が浸透し内部鉄筋が腐食し、躯体および建物の性能が損なわれることがある。
ハウジング管継手
 今回提案は、コンクリートに生じるひび割れを抑制し躯体の寿命を伸ばす。具体的には「中庸熱ポルトランドセメント使用」(地域によっては暑中期に低熱セメント使用)と「化学混和剤」を併用する。前者はコンクリートに水和熱を抑制したセメントを使用して「温度ひび割れ」を、後者はコンクリートに化学混和材を使用し「乾燥収縮時のひび割れ」をそれぞれ抑制する。

2) 高耐久ステンレス共用給水配管システム
 給水配管システムは「管」、「管継ぎ手」、「バルブ」で構成されるが、今回提案ではそれぞれ「200年以上の耐久性を持つステンレス管」、「ハウジング管継手」、「ハウジングバルブ」で代替し、部材自体の耐久性とシステム全体の更新性を確保する。
 通常の給水配管システムでは、部材の寿命等から30〜40年に一度システム全体の更新が必要だが、工事が数ヶ月にわたることや、作業中の騒音振動等により居住性を損なうなど居住者への負担が非常に大きかった。今回提案では、耐久性の高い管を活かしたまま「ハウジング管継手」「ハウジングバルブ」を交換するため、大幅な工期短縮、騒音振動の低減、工事費の削減等、居住者の負担が軽減される。
 なお、本提案をシステムとして集合住宅に導入するのは初めての試みである。また、リフォーム工事でも採用可能である。
 
3) 初期不具合への対応徹底と住宅履歴基礎情報の提供 (長谷工プレミアムアフターサービス)
 通常の分譲マンションでは、引き渡し後の建物管理が管理組合に委ねられるため分譲事業者の関与には限界がある。そこで、長寿命化には「初期不具合への対応徹底」が必須と考え (1)「新築工事保証の大幅延長」、(2)「定期点検の強化」を行い、新築時不具合をできるだけ廃する。
 具体的には (1) では「床、天井、壁仕上の浮き・はがれ (専有部)」の場合、保証期間が2年間から5年間に、「給排水管の漏水 (建物内)」は保証期間が5年間から10年間に、また「屋内への雨水の浸入 (外壁屋上防水等)」では10年間から15年に延長される (条件により異なる)。また、(2) の「長谷工による定期点検 (共用部)」は、従来行っていないが、1年目から5年目まで計4回実施し、その内容を管理組合に書類として残す。
 これらに加えて (3)「住宅履歴の基礎情報の提供」を実施する。初期情報、補修履歴等をサーバーに一元管理、お客様の求めに応じ提供するほか、専有部の「セルフメンテナンスガイド」等をセットした「住まいの整備手帳」の配布などである。
 
4) 住宅間取りの可変性を向上した新内装システム
 居住者の要望に応じて、可動型の間取り構成部品を後付けできる新内装システムを採用した。具体的には、専用部内装工事で実施する「『二重床/二重天井』を先行し整形な空間を構成する」ことと「二重床施工後に間仕切り壁位置や床仕上げ (フローリング/畳等) を行い、可変性向上を図る」の2つである。
 
5) 更新性と可変性を備えたクラディングシステム
 ALC外壁やアルミサッシ・アルミ手摺などの更新性や可変性に対応するため、非構造壁と開口部を「無溶接・無接着」の乾式納まりとする新たなクラディングシステムを採用した。
 
6) 大規模修繕・改修工事を容易にする新築時の配慮
 新築時に、将来の大規模修繕・改修工事を考慮した配慮・対応を施すことにより、「建物の更新性向上」と、工事施工業者の「省力化」、居住者の「作業中の居住性向上」、「工事費用の軽減」を図る。

●今後の予定について

 本モデル事業は、分譲マンション事業であるため、各種メディアを通じた広告宣伝活動や現地モデルルームでの物件のPRを行い集客を図っていくが、今回は通常の販促活動に加え、需要者に限らず広く一般に対しても、住宅の長寿命化に関する普及・啓発活動を強化していく。具体的には、超長期住宅として採用した技術・設備等の説明パネルや模型等を充実させ、見学者が視覚化・体感できるようにする等である。
 当社はすでに民間分譲マンションの施工では46万戸の実績があり、この間当社独自の技術や計画が市場に普及し、事実上の標準となった事例も数多い。一般に新規技術の採用はコスト増となり、デベロッパーも慎重になりがちだが、今回のモデル事業においては、補助金制度を活用し先導的提案が実際に市場に投入され商品性や消費者ニーズを確認できる。本モデル事業を契機に超長期住宅の仕様が標準化されるなど、一般に普及する契機としたい。
第1回 超長期住宅先導的モデル事業紹介
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