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第1回 超長期住宅先導的モデル事業紹介

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次世代ストック型集合住宅の提案

康和地所株式会社
〒102-0083
東京都千代田区麹町4-8
麹町クリスタルシティ東館13F

●基本コンセプトについて

 「良い住宅を建てて長持ちさせる」ということが、今回の事業提案として根本にある。従来30年前後で建て替えられていた住宅を100年、200年と欧米並みに寿命を延ばすことによって確実に国民の「生活の質」は向上する。建物を新築する行為には大量のエネルギーが投入され、そして大量のCO2が放出される。「はじめに良い家を建てること」によって、不必要な解体・新築行為を減らしていくことは、我が国全体の省エネルギー化・CO2削減効果につながり、今後の建設・住宅不動産業界としての取組みは必須である。
 提案内容の考え方としては、強度が高く、基本性能の高いRC集合住宅を外断熱で包み込むことにより、躯体を保護し外部環境から守り、快適な室内空間を維持、点検して長持ちさせてゆくところにある。また居住者が省エネルギー意識を高めるためのソフト部分での工夫も提案した。「はじめに良い家を建て」、「居住者の意識を向上させる」そのことで住まいのあり方が大きく変わる、マンションデベロッパーとしてそこまで真剣に取組むという意味では他に例がない、先導的な提案である。以下にその代表的な提案項目を示す。

●先導的な提案の内容について

 まず、はじめにコンクリート強度30N/mm²や保有水平体力1.25倍、階高設定3.0m以上、バリアフリーといった良質な住宅としての基本性能は確保した。そして、その性能を保ちながら長期的に維持していくための先導的な提案として『外断熱工法』を提案した。私たちは数年にわたる欧米視察や産学協同研究結果から、建物の断熱性能を上げることが、内部の居住環境に対してとても良い影響を与えることを十分学習している。
 今回提案した「次世代ストック型集合住宅」の仕様では、外壁にはビーズ法ポリスチレンフォーム厚さ120mmという次世代省エネ基準の約3倍にもあたる断熱性能を兼ね備えている。開口部にはLow-Eペアガラスを用いた樹脂製サッシ (熱貫流率約2.0w/m2K) を採用し、熱の流出入を最小限にとどめた。ここまで断熱性能をあげると、冬期においては無暖房に近い居住環境が形成される。夏期はまた、夜間換気や日射遮蔽を併用して行うことで、涼房というエアコンではつくりだせない心地よい冷輻射の環境をつくり出すことができる。夏の暑さを溜め込まない工夫としてグリーンシェードや日除け設備といった日射遮蔽装置や、身体に優しい輻射型の暖冷房設備も併せて提案した。
 建物の断熱性能を上げることによる効果は、他のどんな優秀な空調設備を設置するよりも劇的で有効である。超長期にわたり存続させるべき建築としては、このように快適な居住環境を形成できる性能を有することが重要である。
 そしてこの外断熱工法というハード技術と同様に重要なのがソフト技術、この住宅を使いこなす、住みこなす居住者の意識の改革である。居住者が断熱の仕組みを理解し、それを生活に生かし、その相乗効果を図るために熱環境体験室(体感ルーム)を設置し、『soto生活楽しむ会』という外断熱建物の住まい方勉強会を各地で定期的に開催していく。今回の事業提案は外断熱建物の建築から住まい方の勉強会までを提案内容とした。外断熱の省エネルギー効果はここまでやると倍増する。弊社のシミュレーション計算によると年間の冷暖房負荷は約60〜70%強程度くらいまで減らすことができる。
 その他にハード面では、雨水を屋上緑化に、また災害時の非常用給水として利用するシステムを併せて提案した。耐震強度を1.25倍とし、災害トイレなどの防災用品を常備しておき、この建物が災害時には救助活動のキーステーションになりえることも想定した。建物の維持保全に関する先導的提案として『3軸加速度センサー』による振動計測を提案した。これは建物固有の振動による周波数を定期的に計測し、大規模な地震の衝撃を受けた際、躯体に損傷があったかどうかを記録・管理していくシステムである。この衝撃履歴を記録し続けることは、将来的な資産性の維持、耐震改修診断などに応用できる可能性を大いに含んでいる。今年11月からスタート予定の住宅情報履歴システム (Karco) と合わせて大きく展開していく予定である。

●今後の予定について

 今回の採択では『外断熱工法』の省エネルギー性が、超長期住宅として優位な工法として認定された訳であり、今後も他物件において同工法は採用していく。同時に外断熱工法の超長期性(省エネルギー性、維持管理性、耐久性、快適性…etc)について一般ユーザーに対して様々な広告媒体を用いて説明していく。また採択対象物件(江戸川区)については、先導的内容だけでなく、基本性能としてのスペックの高さも超長期対応の計画であることを公開していく。次世代を見据えた集合住宅の模範例として、工事中にもその情報は適宜公開していく予定である。『3軸加速度センサー』に関しては、管理組合のHP上で情報が閲覧できるようなシステムとしていくことを検討中である。地震による衝撃履歴が将来的にどう生かせるかについては、開発者、構造設計技術者、大学専門研究機関と打合せを重ねその可能性を広げていく予定である。
第1回 超長期住宅先導的モデル事業紹介
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