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超長期住宅先導的モデル事業 採択事例レポート

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徹底した“見える化”で住み継ぐ暮らしをサポート

大和ハウス工業株式会社
まちなかジーヴォ大和東
 兵庫県川西市、能勢電鉄妙見線「畦野駅」から徒歩8分。大阪の中心市街地まで1時間ほどでアクセスできる閑静な住宅地の一角に大和ハウス工業 (株) の「まちなかジーヴォ大和東」はあります。
 「まちなかジーヴォ」とは、住宅地の一角に同社の主力戸建て住宅「xevo」を建設し、近隣の居住者の方々などを中心にリアルサイズのオープンハウスを体感してもらおうというものです。一定期間モデルハウスとして活用した後に実際に販売することになっているのも特徴のひとつです。また、「まちなかジーヴォ」のなかには、08年度第1回目の超長期住宅先導的モデル事業の対象になっているものも含まれています。「まちなかジーヴォ大和東」もそのひとつです。

将来の二世帯住宅化などにも柔軟に対応

「まちなかジーヴォ大和東」
収納スペースにも変更できる和室の床の間
健康管理機能が付いたトイレ
パネルなどを用いて長期住宅の考え方などを紹介
 大和ハウス工業 (株) が第1回目で採択された提案では、「住み継ぎ」というキーワードがメインテーマになっています。大きく2種類のモデルがあり、第三者間で住み継ぐことを想定したものと、家族間で住み継ぐタイプを提案しています。第三者間で住み継ぐものを分譲住宅で、家族間で住み継ぐものを街角期間限定モデルハウス(まちなかジーヴォ)でそれぞれ展開しています。つまり「まちなかジーヴォ大和東」は、家族間で住み継いでいくことを想定したものというわけです。
 では、家族間で住み継いでいくためにどのような工夫を施しているのでしょうか。「xevo」は、もとも優れた耐久性や省エネ性を備えた戸建て住宅ですが、そこに加えて間取りを簡単に変更できる配慮などを施しています。
 例えば、間取りの変更をスムーズに行える「パーティションフリー工法」を採用しています。天井と床を先に造りこみ、後から間仕切りの壁を組み込むことで、家族構成の変化などに応じて間取りを簡単に変更できます。
 「まちなかジーヴォ大和東」では、とくに将来の二世帯住宅化への対応を強く意識しています。例えば、一階部分の和室にある床の間は収納スペースへの変更を想定しています。また、キッチンやトイレ、バスルームは十分なスペースを確保、車椅子などでの生活にも対応します。
 さらに、将来的に2階部分にミニキッチンなどを増設することを考慮した給排水管設計を施しています。

環境性能やメンテコストだけでなく、居住者の健康状態も“見える化”

 大和ハウス工業 (株) の提案では、徹底した「見える化」を進めようとしています。
 まちなかジーヴォ大和東でも、随所に「見える化」を図るための工夫が施されています。例えば、前出の「パーティションフリー工法」などについて簡潔に説明したパネルが各所に設置されているほか、「xevo」の特長のひとつである外張り断熱通気外壁を説明する模型なども展示している。
 「ecoナビゲーター」を活用した年間光熱費の効果予測値なども示しています。「ecoナビゲーター」は、計画段階で創エネ、省エネ設備の効果を確認できるシミュレーションソフト。年間の光熱費だけでなく、一般的な住宅とのメンテナンスコストの比較もできます。
 維持管理の面でも「見える化」を進めています。居住者が自宅の住宅履歴をWeb上で確認できるシステムを構築し、居住者のメンテナンス意識の喚起などを促そうとしているのです。
 「見える化」のための工夫は居住者の健康状態にも及んでいます。トイレを使って尿糖地や血圧などを手軽に確認できるシステムを導入、自宅に居ながら体調の微妙な変化をいち早く確認できます。蓄積されたデータはパソコンの専用ソフト「健康かんりくん」を使ってグラフ化し、現在の健康状態や生活改善ポイントもひと目でわかります。

将来世代の豊かさを引き継ぐために

 大和ハウス工業 (株) では、採択されたモデル事業を進めるに当たり、社内でチェックリストを策定しました。このチェックリストは、22の必須項目と13項目の重要項目から構成されており、モデル事業の対象になるためには、必須項目を全てクリアしたうえで、重要項目のうち10項目で求めている条件を満たす必要があるそうです。
 また、採択事業のメインテーマである「住み継ぎ」を主題にしたパンフレットも作成し、内閣府の200年住宅ビジョンの内容や「住み継ぐ家」のメリットなどを分かりやすく紹介しています。このあたりにも、徹底した「見える化」を進めようという姿勢をうかがい知ることができます。
 せっかく建てた住まい、子どもや孫の世代まで住み継げるようなものにしたい―。もしくは将来を担う次の世代へと住み継いでいけるような住まいにしたい―。大和ハウス工業 (株) が掲げた「住み継ぎ」というテーマには、こうした想いが込められているのではないでしょうか。住宅そのものの寿命が長くなったとしても、それを住み継ぐ将来世代がいない限り、その寿命を全うすることはできないでしょう。
 次世代へと住み継ぐ住まいが数多く誕生すれば、それを引き継ぐ未来の世代が負担する住宅コストは大きく低減されるでしょう。お祖父さんが家を買い、お父さんが別荘を買い、子どもがクルーザーを買う…。住宅を住み継いでいくということは、そんな豊かな暮らしへの第一歩なのかもしれません。
超長期住宅先導的モデル事業 採択事例レポート
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