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超長期住宅先導的モデル事業 採択事例レポート

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“経年美化”の街に「強さ」と「しなやか」を持つ長期住宅を

積水ハウス 株式会社
コモンスクエア南大沢「サナレアの丘」
 積水ハウス (株) では、「08年度第1回 超長期住宅先導的モデル事業」において、「まちなみ分譲モデル・提案住宅モデル」という提案が採択されました。
 この提案では、「ストック価値パッケージモデル」というものを提案しています。優れた構造性能や耐久性だけでなく、間取りの可変性や地球環境への配慮などを施した住まいを提供しようというもので、“強さ”と“しなやかさ”を兼ね備えた住宅を実現しようというわけです。
 また、「ストック価値パッケージモデル」に加えて、同社の「まちづくり憲章」「まちづくり基本方針」に基づきながら、時間の経過とともに価値が高まる街づくりを行います。つまり、経年劣化ではなく、“経年美化”する街を創造し、そのなかに“強さ”と“しなやかさ”をあわせ持つ住宅を建設していくというわけです。

将来のライフスタイルの変化などに柔軟に対応

 積水ハウス (株) が提案した「まちなみ分譲モデル・提案住宅モデル」の対象になっている住宅を実際に訪問してみました。
 東京都八王子市、京王線「南大沢」駅から徒歩27分、同じく「多摩境」駅から徒歩19分。多摩の山並みの豊かな緑とアウトレットパークなどの都市生活の快適さが共存する地域の高台に、積水ハウス (株) が分譲する住宅地、コモンスクエア南大沢「サナレアの丘」があります。
 同社では、この地に全79棟からなる“経年美化”を目指す街づくりを進めており、現在16棟を分譲しています。このうち6棟が「まちなみ分譲モデル・提案モデル」の対象になっています。今後、新たに6棟の対象住宅も建設する予定です。
 モデル事業の対象となっている6棟の住宅では、鉄骨住宅の場合は同社独自の制震システム「シーカス」を、木造住宅 (シャーウッド) の場合は専用の構造用集成材「MJ接合システム」をそれぞれ導入しています。
 また、外壁にはセルフクリーニング機能を発揮する「超親水塗装外壁」、もしくは耐火煉瓦の原料でもある粘土を用いた陶板外壁「ベルバルーン」を採用しています。「ベルバルーン」については、優れた耐久性を持つだけでなく、高い対傷性も備えています。
 こうした配慮を施すことで、より強く、長持ちする住宅を具体化しているのです。
 その一方で“しなやかさ”も備えています。例えば新たに開発した可変空間システム「ヴァリエス」。可動式の収納家具で、居住者が簡単に間取りを変更ができます。または、「ヴァリエス」を採用していない住宅では、可変間仕切りシステム「マドリングライフ」を導入しています。間仕切り壁の一部に専用の部材を利用し、より簡単に間取り変更工事ができるようにしたものです。壁クロスを使用していないだけでなく、電気などの配線を壁内に通す作業も簡単に行えるので、従来よりも大幅に施工の手間を省くことができるそうです。

太陽光発電や高効率給湯システムも採用

 地球環境への配慮も施しています。具体的には、太陽光発電システムや高効率給湯器を採用、ガス発電給湯器「エコウィル」もしくは高効率給湯システム「エコキュート」を取り入れています。さらに、庭木への散水用として雨水貯留タンクも用意しており、災害時には生活用水として活用することも想定しています。
 こうしたハード面での対応に加えて、同社の長期保証・点検システムや買取再生システム「エバーループ」などのソフト提案も盛り込んでいのも特徴のひとつです。

歩行者専用道路をコミュニティの場に

 コモンスクエア南大沢「サナレアの丘」を訪れてまず気付くのは、電柱がないという点です。電線の地中化を図っているのです。歩行者専用道路の存在も目をひきます。南北の宅地の間に歩行者専用道路を設けており、居住者がコミュニティを育む“場”を創造しているのです。
 各住戸には同社が提唱する「五本の樹」計画に基づく植栽が植えられています。こうした各住戸の植栽は歩行者専用道路の植栽帯との一体化が図られています。
 「五本の樹」計画とは、「3本は鳥のために、2本は蝶のために」という思いを込めて、その地域の気候風土に適した自生種・在来種の樹木を植えようというものです。自然と共存する庭づくりを進めるだけでなく、生態系の再生にも取り組んでいこうというわけです。
 植栽された様々な木々や植物は街の成熟とともに生長し、緑豊かな住環境を創造していきます。そして、歩行者専用道路では、車の存在を気にすることなく子ども達が遊び、居住者間のコミュニケーションが行われる―。それがコモンスクエア南大沢「サナレアの丘」が描く未来像なのです。
 歩行者専用道路は、全区画が二面以上に開放された快適な敷地の創造にも貢献しています。さらに、この街では住戸間の間隔を十分に確保しているため、非常に開放感のある住空間をつくりだしています。これは、街全体で通風と採光を確保するための配慮で、住戸間の間隔と建物の配置を工夫し、「風の道」と「光の道」を確保しているのです。
 積水ハウス (株) では、「n×豊か」(エヌバイユタカ) という街づくりの考え方を推進しています。まちづくりの際に隣地の庭や周辺環境とのつながりを考慮しながら配棟・植栽計画を行うことで、1棟単位では享受することが難しい豊かさ実現しようという考え方です。
 100年、200年後にも価値を失わない住宅―。それを実現するためには、やはり住宅そのものだけでなく、周辺の住環境まで含めて考えていく必要があるでしょう。コモンスクエア南大沢「サナレアの丘」では、そうした考えてに基づき、住環境まで含めた超長期住宅の姿を提案していると言っていいでしょう。
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