第1回 超長期住宅先導的モデル事業紹介

　住宅の長寿命化と省エネルギー的側面を照らし合わせ「涼温房」を提案。「涼温房」とは、夏を涼しくする「風の設計」、冬を温かくする「太陽の設計」、これを補完する「緑の設計」により自然の恵みを活かした冷暖房設備に頼りきらない住まいを実現する設計提案である。
　構造及び漏水に関わる長期保全計画 (ロングサポートシステム) を明示することで、住宅取得時よりメンテナンス計画の必要性を入居者に理解して頂き、メンテナンス工事の実行率を高め、更に、無償定期点検の実施、24時間サポートシステム、竣工図や保守方法の冊子配布等により、建物の長寿命化を支援する。
　耐用年数の向上など長期使用に配慮した設備等仕様、及びディティールの標準化を進めている。一例として、万一に備える高い耐震性能、付設や改修による建物の荷重増加を見込んだ構造計画、雨仕舞の耐久性を高める各種防水材料、製造エネルギーが少なく修繕や再利用が可能な無垢木製品などを標準採用としている。
　地球温暖化抑止につながる資源の自給や国内の山林保全を推進するため、今回の提案では構造軸組材、構造耐力面材、羽柄材の一部、及び床材の一部を国産材とすることで国産材使用率を高めている。
　当社は創業以来300年以上、木を植え、育て、活用してまた植えるというサステナブルな事業展開を進めており、森づくりから家づくりまで一貫して「木」にこだわり、「木」に関わる事業に取り組んでいる。長く使うほどに味わいを増す木は、きちんと手入れをすることで愛着が深まる。住む人が愛着を持ち、世代を超えて住み継ぐ家づくりを提案する。

　当社の提案は、「MyForest-大樹 (超長期モデル事業)」、「MyForest-BF (超長期モデル事業)」、「MyForest-北海道仕様 (超長期モデル事業)」である。
　これらが採択を受けた先導的な提案は以下の通りである。
　
・冷暖房設備に頼りきらない「涼温房」の設計提案
　天井部位の断熱強化など次世代省エネルギー基準を上回る断熱・気密性能をベースとし、太陽の光をコントロールする「太陽の設計」、風の通り道を設計する「風の設計」、庭の緑の力を利用する「緑の設計」により、自然の恵みを活かした冷暖房設備に頼りきらない住まいを実現する設計提案である。住まいの省エネルギー化を実現しCO2排出量削減にも貢献する。

	クリ材の床を提案する室内イメージ

・強靭な構造躯体
　「MyForest-BF (超長期モデル事業)」はビッグフレーム構法により、耐震性・耐久性に優れた構造躯体を実現。梁勝ちラーメン構造により耐力壁が少なくてすみ、これにより間取りの自由度が高く、将来的な室内空間の可変性にも優れている。
　なお、ビッグフレーム構法とは、独自開発のビッグコラム (大断面集成柱) と梁で支える木質梁勝ちラーメン構法のことだ。
　
・国産材の積極活用
　「MyForest-大樹 (超長期モデル事業)」と「MyForest-北海道仕様 (超長期モデル事業)」においては主要構造材における国産材の使用比率100%を実現。
　特に「MyForest-北海道仕様 (超長期モデル事業)」においては北海道産材を100%採用している。日本の気候風土に合った日本の木でつくる住まいである。国産材の積極活用により、国内山林事業の活性化、森林環境保全など、地球環境保護への貢献を進めている。
　
・ロングサポートシステム
　快適で安心して長期使用ができるよう、記録から保証までを含めた60年間の点検維持管理プログラムを設定。
　専門部署を設け、入居後の相談に24時間365日、専門の技術者が電話にて対応し、案内書によりメンテナンスの適切な時期や方法についてアナウンスを行う。また建物譲渡時の保証継続などにより、既存住宅の流通にも寄与すると考える。

　今般、採択された当社「超長期住宅先導的モデル事業」は前述の3タイプである。国から採択された当社の割り当て棟数に基づいて各支店の提供するモデル住宅の棟数を決定。
　建設中の現場を公開し、当社「超長期住宅先導的モデル事業」の提案にある「涼温房」による省エネルギーな生活提案、「国産材の積極利用」による地球環境保護への貢献、「ロングサポートシステム」による安心な住まいづくり、などに関する意見を求め、当社提案の市場評価を確認するものである。
　今後は、その結果を商品開発にフィードバックし、住宅展示場などでの実証を行い、長期的な住宅の使用に関するノウハウや仕組みとして確立させ、当社が供給する住宅の長期使用の実現に結び付けるべく、更なる研究開発を進める予定である。