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第1回 超長期住宅先導的モデル事業紹介

平成21年度 平成20年度
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スモリの家・エコラ

スモリ工業株式会社
〒983-0005
宮城県仙台市宮城野区福室字明神西59-1

●基本コンセプトについて

 住宅の長持ちを考えれば、構造の耐久性能を万全にする努力は当然だが、それとともに特に「外装」の耐久性能にも留意する必要がある。維持に多額の費用が掛かるからである。
 一方で現状解体廃棄される住宅には、手を加えればまだまだ居住可能な住宅が多いと言われる事も考慮される。つまりライフスタイルの変化に対し、簡単に効果的に直す事ができ、修理費用も安く抑えられる構造としておく必要もある。
 また超長期の維持管理には、住宅の設計図書や仕様等の基本情報、その後のメンテナンス履歴等の管理も欠かせない。更に、コストが高ければ良いものであってもその普及は難しい。
 それぞれが矛盾する事もあるこれらの課題に対し、スモリでも多くの失敗を重ねながら取り組んできた。手前勝手な部分も多いとは思われるが、この取組への現状の姿が提案モデル住宅スモリの家・エコラである。

●先導的な提案の内容について

 スモリの家・エコラは、独自の「真壁耐力パネル (銀我パネル)」等により耐震性能、断熱・気密性能等で今回満たすべき基準性能を上回る。この構造は同時に「構造材の破壊なしに解体・再建築が可能な構造」となっており、例えば鉄釘を廃し全てステンレスの釘ビスを使用し、気密材にEPDM高耐久ゴムパッキンを使用し、挟む構造 (=解体対応) での気密性能を得ている。
 外壁や屋根にはメンテナンスフリーと言われる乾式レンガタイルや陶器瓦を、施工の効率化等でコストダウンを行い、標準仕様とした。内装においては、プレカット内装建材システムにより、メンテナンスを部品交換で行う事ができる構造とした。
 この他にもスケルトン・インフィル、換気構造、住宅管理システムや家暦管理システム等の提案を行った。
 以上に加え今回の申請では「地産一貫集約による住宅建築」の提案を行った。
地産一貫集約:山では原木から造り、現場は1日で完了
 これは岩手県住田町にある「けせんプレカット事業協同組合」との協同事業で以下の様なものである。
  1. 地場産材を伐採し、集成材化して、パネル加工も行ない、更にサッシまでを組込んだ大型パネルを地元工場で生産する。この大型パネルは住宅1棟分約70枚で、4t車6台に積載可能、そこに職人兼運転手10人が乗り込み現場に運ぶ。
  2. 現場では、荷降ろし後即座に建築開始する。集約化により、工期は約1日で完了する。よって10人の職人はそのまま地元に引き上げる事ができる。
 木材産地の住田町の企業が、この工事までを一貫するこの体制を「地産一貫集約」と呼ぶ。この体制では中間業者が一切入らず、全て地元で一貫集約される為、売上全額が地元にそのまま還流する。この資金の還流で、植林、下草刈り、間伐、下枝打ち等の山林管理の余裕が生じ、山が持続的に維持管理される事が期待される。住田町の山林の維持管理状況が改善していると言われる事からも、この仕組みが有効である可能性がある。
 同時に、地産一貫集約で建築される住宅には直接生産地がかかわる為、品質の向上を行いやすくなる傾向もある様である。
 例えば構造材使用量で言えば、通常延床40坪総2階の住宅での構造材量は9m²程度である所、この住宅では15m²程を使用する住宅となっている。

●今後の予定について

 まずスモリの家・エコラの現場見学会、宿泊体験等通じ、超長期住宅先導的モデルとしての普及啓発を推進したい。更に既述の「地産一貫集約」の事業モデルを他地域に広める活動を行いたい。
 スモリの家では、特許やブランド使用、認定利用等の無償提供を全国に向け10年以上にわたり行ってきた。
 しかし宮城県外でのスモリの家の知名度は低く、ノウハウや権利は無償でも普及はなかなか難しい事が多かった様である。
 一方、今山で働く方々の高齢化は進み、木造住宅の建築を支えてくれる筈の日本の山の荒廃は一刻の猶予も許されない段階にある。この事態への一助としても、今回ご採択戴いた超長期住宅先導的モデル事業としての力を借りながら、地場産材を使用し、地場の山を守りながら、良質な住宅を建築して行く「地産一貫集約による木造住宅」の事業を広めて行きたい。
 この為に社長須森明以下全員にて、現場で、工場で、そして山で働く職人の方々を支え、共に努力して行きたい。またこの事業を弊社単独で行う事は到底不可能であり、その意味でもエコラ (エコロジー・コラボレーション) を推進致したく、是非皆様とのコラボの機会を戴ける事を、心からお願い申し上げたい。
第1回 超長期住宅先導的モデル事業紹介
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