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第1回 超長期住宅先導的モデル事業紹介

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「大樹のめぐみ」超長期モデル

株式会社茨城県南木造住宅センター
〒306-0817
茨城県つくば市研究学園A-55街区

●基本コンセプトについて

 茨城や千葉県の北部は、農業が盛んなこともあり、古民家が生き続けている。そのメンテナンス、移築、リフォーム、建て替え等を請け負う中で、超長期住宅の最も大きい支えは、「住まい手の愛情と愛着」にあると実感している。この地域での経験と豊かな茨城の気候・森林資源を活かした、将来に亘って愛され続ける住宅「大樹のめぐみ 超長期モデル」を提案した。
 「大樹のめぐみ 超長期モデル」は、木造軸組工法を基本とし、それに、耐震性、断熱性、地域性、地域環境、自然環境、不動産価値などの総合的な視点から様々な提案をすることによって住宅の長寿命化を具現化する。
 特徴は、すべての通し柱を茨城産の7寸角とし、尺梁とともに約1.5〜2間間隔で配置、超長期住宅として必要な骨太の躯体を持たせ、かつ、茨城の豊かな自然を生かした太陽熱や自然風を活用するパッシブデザインを導入、環境にやさしい住宅とした。
 また、地場の木材をできる限り使用することで、自然環境の保持、啓蒙をし、住まい手が住宅に愛着を持ち積極的に家を守りたいという動機を促すことで、愛着を持って長く住みつづけるための取り組みも行う。

●先導的な提案の内容について

「大樹のめぐみ」超長期モデルのイメージ
上棟
森林見学会
 7寸角 (200角) の通し柱を1.5〜2間間隔に配置し、尺梁 (H300mm) を使用する骨太な躯体は、超長期住宅では必要なスペックと考えた。7寸角 (200角) を通し柱とすることで、通常問題となる断面欠損率が減り、大入れの四方差しホゾ有りでは、150mm角以上の有効な部分が残る。
 使用する材料・設備は、できるかぎり耐久性と普遍性がある素材・一般的に流通している素材を選択している。それにより、将来的な材料の供給が容易で、コスト面からも建物の耐久性が向上するといえる。
 また、通し柱は芯ずれさせ、柱間の内法寸法を統一化、既製サイズの合板に合わせた。これにより既製の合板をそのまま使用可能で、材料ロスや廃棄物の量を減らせるだけでなく、将来にも、一般流通材を使用でき、住宅設備機器、金属建具なども一般流通品のサイズを使用することが可能となる。取り換えの困難な部分の材料は、耐久性にこだわり選択した。
 また、茨城県は豊富な日射量と風の通る気候が特徴で、木造住宅の本質を生かしやすく、自然環境を採り入れやすい環境である。この地域特性を生かし、次世代省エネルギー基準をベースとして、南面開口部を大きくし、積極的に冬の日射を取り入れ、室内に蓄熱の工夫をして暖房効果を得る。夏は、自然風や夜間換気に工夫して、冷房効果を得る。
 このような建築的工夫 (パッシブデザイン) により、過度に冷暖房設備に依存することなく、夏涼しく冬温かい住宅を実現する。
 住宅本体以外での取り組みとしては、将来的にも職人がつくる木の家を目指しており、施工に当る職人の育成にも力を入れるべきと考えている。
 基本は親子の大工または師弟関係のある大工を2人1組で採用し、継続して現場を担当する。この方法により、大工は職業的安定と技術の継承を行うことが可能で、長期的な生産システムと、将来的なメンテナンスが可能になる。
 また、森林組合→製材組合→当社という、独自の木材流通のダイレクトネットワークを活用する。安定した木材の供給が将来にわたり可能で、また、供給側とのニーズのやり取りにより、材料品質の向上や、必要部材の共有が可能となる。地域の材料を地域で使用する地産地消を実現する。
 当社が事務局を行う「つくばスタイル」木の家クラブでは、茨城の県産材を使用した家を普及すること・長く受け継がれ愛着を持たれる家を普及することを目的として、将来、家をつくる予定の方々、木の家に興味のある職人、工務店、建築家、材料供給を行う林家や製材所、その他関係者で、さまざまな勉強や見学を行い地元の木の家の良さを理解してもらう活動をしている。
 特に木の家に愛着を持ち、長く住んでもらうこと、世代を超えて受け継がれていくことを念頭に、木の家の良さ・家づくりに必要なワークショップやセミナー、材木市場や森林の見学会や建築家メンバーとの懇親会、長く住み続けるためのメンテナンスなどのアドバイスなどの各種イベントを開催する。
 建て主への積極的な家づくりへの参加を促し、暮らしを楽しむ為、施工側との作業共有化をはかっていく。

●今後の予定について

 繰り返しになるが、長く生き続ける住宅の最も大きい支えは、「住まい手の愛情と愛着」にあると実感している。
 今回の取り組みに当たり、その住まい手側の意識や動議づけを改めて見直し、強化した。これまで以上により体験的な動議づけとなりうる活動をしていきたい。
 住宅そのものの性能の強化と併せて、住宅の供給側だけではできない、使う側の取り組みを喚起する方策をすすめる。
 職人の技術の伝承も重要なポイントで、今後はユーザーとの情報の相互交換も含め、積極的な取り組みが必要と考えている。
第1回 超長期住宅先導的モデル事業紹介
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