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第1回 超長期住宅先導的モデル事業紹介

平成21年度 平成20年度
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『彩樹の家』〜地場県産材を用いた超長期住宅事業〜

株式会社高砂建設
〒335-0004
埼玉県蕨市中央1-10-2

●基本コンセプトについて

 当社は創業以来30年の間、一貫して地域に根ざした地場工務店として事業活動を行ってきた。地域密着型のネットワークシステム「絆」を構築し、「建てたら終わり」ではなく、引渡し後も施主との顔が見える間柄を保ち、住宅を長期に渡って維持していく関係を築いている。
 地域密着型ネットワーク「絆」は、安定供給、安定需要により住環境の品質を落とさないことを理念に掲げ、住まい手と造り手の幸せが環境負荷低減に繋がると信じている集団である。

●先導的な提案の内容について

 今回の提案では、構造躯体の耐久性向上のため「外断熱二重通気工法」を標準採用。外断熱工法と外壁通気工法により、内部結露を防ぎ、耐久性に配慮した。外壁室内側にも通気層を設けており、屋外の温度変化をセンサーが感知し、電動式床下換気口を開閉する。床下・壁内・天井裏まで連続した通気層や小屋裏換気扇との連動により、壁体内環境の自動制御を行う。
 土台や柱、間柱、筋交いは県産木材の桧芯持ち材を採用し、基礎断熱部には物理的防蟻工法 (メッシュ工法) を施すことで、薬剤を使用せずに住宅性能評価制度の劣化等級3を達成した。
 加えて、屋根・外壁の下地形成によって連続した防水・気密ラインを形成し、外壁材などの外装仕上げやコーキングの劣化による防水性低下の可能性を排除している。
流通促進では、モデルハウスを利用した「宿泊体験」等を実施する
 耐震性では、住宅性能表示制度の耐震・耐風等級2以上を基本性能として確保する。
 また、当社の場合、外断熱二重通気工法を標準仕様としており、石膏ボードなどを直張りしないので、石膏ボードなどによる準耐力を考慮しない。このため、可変可能な間仕切壁が容易に実現する。耐力壁・非耐力壁線区画による大梁・柱伏せ図を作成し、水平構面 (床剛性) を確保することで可変可能な間仕切壁の住空間 (S&I) を実現し、これらをまとめた可変間仕切りノートを作成する。
 さらに、埼玉県知事認定の「彩の国工場」である協同組合フォレスト西川から供給されるプレカット材に、柱一本一本をグレーティングマシンに通して、強度が印字された品質表示木材を使用する。1棟当たりの構造躯体出荷証明書と県産木材認証事業体記号番号 (生産者または生産地) の記載を添付し、構造材としての強度・品質を担保していく。
 維持管理の容易性では、さや管方式を採用。構造躯体や内外装仕上げに影響を与えることなく更新を可能とした。
 ヘッダー方式の採用で、ヘッダーから設備機器まで1本の配管で接続することが可能になる。壁や天井裏での接続箇所がなくなり、水漏れの危険性が低下。ヘッダー部に点検口を設置することで、点検を容易にすることができる。
 良質な居住空間としては、当社の場合、スケルトンプラン (耐力壁を明確化) を作成することで、耐力壁以外の壁は取り除くことが可能、将来の間取り変更も容易だ。インフィル部 (住宅設備) も給水・給湯だけでなく、排水管にもさや管ヘッダー方式を採用することで予備の接続口を設け、将来的な水廻りなどの改築でも容易に工事を行えるようにした。
 また、建築物総合環境性能評価システムCASBEE [戸建] を利用し、全棟格付評価する。
 維持管理の作成等については、「高砂長期継続型保証システム」を構築し実施する。点検・メンテナンスを計画的に行うことによって住宅の寿命延長や資産価値向上を目指す。具体的には引き渡しから10年は現行の保証制度(品確法に定める保証)を適用し、11年以降は定期的に当社で点検を行う。築後20年、30年と10年に一度、国土交通省指定評価機関による既存住宅性能表示制度を活用。木材の劣化状況や住宅の経年劣化を報告書として整備し、公的な証明書の発行により信頼性を担保する。
 供給する住宅の設計図書や工事履歴書等の記録は、施主と当社に加え、住宅性能評価機関でも電子データとして保管し、長期に渡り記録の逸失を防止する。
 当社では地産地消の観点から15年程前より地元である埼玉の県産材(西川材)の利用と、住宅の長寿命化に取り組んできた。今回の提案住宅も、当社が従来から取り組んでいる県産材利用の外断熱二重通気工法の住宅がベース。県産木材の使用率は、1棟当たり60%を超えている。今後も地産地消と住宅の長寿命化による環境との共生を図る家づくりを行っていく。

●今後の予定について

 当社は従来から住宅性能表示制度を活用してきたが、今回の提案事業を契機に全棟に設計住宅性能評価だけでなく、建設住宅性能評価も実施し、超長期住宅の基本性能を確保する。
 新たな取り組みとしては、超長期な期間を考慮し、高砂長期継続型保証システムを構築し、定期的で継続的な既存住宅性能表示制度の活用や登録住宅性能評価機関による電子データバンクを使った記録の作成・保存などを行っていく。公平で中立的な第三者機関を最大限に活用することで、住宅を社会的資産として長期利用することが期待できる。
 また、環境性能評価システムCASBEEを用いることで、建築主がCO2削減目標を数値や目で見て分かるようになる。環境への意識を向上させ、省エネ推進に寄与すると期待している。
第1回 超長期住宅先導的モデル事業紹介
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